「流れに従って生きる」ーN建設編ーACT13:ここに居る意味がある

 「九死に一生を得る」形の追試でようやく大学を卒業した私は、ほどなく仙台の地方小ゼネコンであるN建設(株)に入りました。
 学生時代にアルバイトをしていた会社です。



ここでは、しょっぱなからカルチャーショックを受けました。



アルバイトしていた頃の 製図室(専務室) とは違い、配属された工事部は、完全な「縦割り社会」で、3人の工事長を筆頭に、「入社した順番」に前から机が並んでいる・・というスタイルでした。
 「今どきの社会でも、一般企業ってこんなシキタリなのかなぁ・・??」・・と面を食らいました。



 なにせ、大学という自由な空気の中で4年間も過ごした私には、高校の体育会系の部活に戻ったこの雰囲気には、時代を巻き戻したような感覚さえ覚えたからです。


 
 

おまけに、私は白い目で見られる存在でした。



 私より年下でも2~3年間も現場でバリバリやっていた人から見れば、「ちょっと有名な大学出てきたからって、いい気になるなよ。お前に何が出来るってや?」・・という思いもあるのでしょうか・・、私は、完全に冷たい視線を送られる存在でした(@@;)。


 

 さらに、給料、ボーナスとも想像していたよりかなり安く、入社した初めの頃は、「選択ミスだったかな」・・と正直がっかりしました。



 自慢ではないですが、N建設に努めた5年間、ボーナスで20万円もらったことがありません・・。



 スーパーゼネコンに行った同級生の金額を聞けば、心底惨めでした・・(;_;)。



(同級生の飲み会では、よくバカにされました・・(^^;)。親にも・・)



 そんな中でも、N建設でがんばろうと思ったのは、いろいろ流れを感じたからでした・・。



「ここにいっしょに存在する意味がある」



 新入社員歓迎会の基調講演で、協力業者T電気㈱の会長さんのご挨拶で、記憶に残っている言葉があります。


「今はまだ分からないだろうが、ここにあなたや周囲の人が居て、こういう関係になったのは、見えない糸でつながっていた運命だったと気づくときがくるだろう。


ここにいっしょに存在する意味があるのだ。


だから、その環境を否定するのではなく、その環境で一生懸命がんばりなさい。きっと、いいことがあるはずです」。




 70過ぎの人生観から語った言葉ではあると思いますが、私が「流れ」と呼んでいたニュアンスと非常に近いものを感じ・・、ここで、こういう話を聞くのも「流れ」なのだろう・・。
 会社を巣立つ時期だ・・という「流れ」を感じるまでは、N建設に居ようと心に決めました。




その選択が結果としては良く・・


N建設の濃縮された5年間に、


これから私の人生を決めるいくいろいろな出来事が展開していくことになります。





 

事実は小説よりも奇なり

神様は見ています。

 

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