Economist May 13-19th PEAK CHINA

副題 China's economy will neither collapse nor overtake America's by much.  That could make the world safer.

主題で、中国の繁栄は今がピーク、副題からは、中国経済は破綻もしなければアメリカ経済を大きく超えて首位に躍り出ることもない。それが、世界をより安全にすると読める。つまり、GDP2位まで急拡大してきた中国経済はこれ以上アメリカとの相対で伸び続けることはない、それで摩擦も拡大することはないという話だと思われる。内容を見て行く。

第一段落

中国の急激な勃興が過去40年の世界の決定的な特徴である。中国は生産力で世界5位まで上り詰め、世界経済の形を(序列?)を変えてきた(再形成)。習近平は、その勢いをかって、地政学的秩序を変えようともしている。

defining feature : 決定的な特徴、dizzying:目が回るほどの、目がくらむような、ここではits GDP has grown by a dizzying 9% a year, on averageとして、過去40年近くに亘り、平均9%というとんでもない成長を実現してきた、このとんでもない(驚くべき)というのをdizzyingで表現している。staggering:これも元々はよろめいているとか、足元がふらついているという意味なんだが、ここでは驚異的なという強調に使われている。accounts for : これは良く使う表現でxxxを占めるという意味。ここでは、Today China accounts for almost a fifth of global outputというように使われている。sheer size of xxxx : sheerは(大きさ、重さを強調して)非常なとか、とてつもないという意味を与える。なので、このsheer size of its marketは巨大なマーケット(経済規模)という意味となる。heft : 目方、重量が元々の意味で、以下の文脈では重要な地位(勢力)を意味する。geopolitical order : 地政学的秩序。Xi Jin-ping hopes to use his country's increasing heft to reshape the geopolitical order. 習近平は、彼の国の伸び行く勢力を地政学的秩序の再形成に用いようとしている。  

第二段落:

ただ、1つだけ大きな落とし穴(罠)ある。中国の急成長はスローダウンしているということである。10年前、予測者は中国のGDPは21世紀中盤には急拡大し米国を超え、その後も指導的立場を維持すると見ていた。現在では、それほどドラマチックでないことになりそうだ。せいぜい、経済的に同等レベルになる程度であろう。

catch:罠、prosaic : 平凡な、zoom:急上昇する、commanding lead : 指導的立場、in the offing : 元々はもう直ぐ船が港に来そうでという意味。ここでは、まもなく起こりそうという意味。econoic parity : 経済的同等

第三段落:

この経済の軌跡の変化(中国が急成長の伸びを示したのに、成長がスローダウンしてきたこと)は中国ウォッチャーの激しい論争の的になっている。彼らは中国の影響力と米国との競争ということを再度考えていて、中国の国力は米国に比して落ちて行くが、逆説的にそのことが中国をより危険にするという見方をするものもいる。昨年出版された本で、Peak Chinaという理論が普及した。中国は衰退に面し、既存の秩序を壊すに十分なパワーを持つが、時流は彼らの側にあるという自信を失いつつある状況に達っしたとする。その本は、台湾をめぐる想像の戦争という話から始まる。

trajectory : 軌跡、clout : 影響力、rivalry:競争、paradoxically :逆説的に、popularize:大衆化する、ポピュラーにする、decay:減衰、衰退、衰え、

第四段落:

Peak China論文は、ある追い風が向かい風に変わりつつあり、それが中国の発展を妨げるという正確な観察に基づいている。第一の突風は人口動態から来る。中国の労働年齢人口は10年近く減少している。昨年、中国の人口はイークに達し、インドが人口世界一の座についた。共産党政府による中国のカップルへの多産の勧めは効果を発揮していない。UNは2050年には中国の労働人口は25%以上減少すると考えている。

thesis:論文、hinder :妨げる、demography:人口動態(構造・分布)

第五段落:


経済を成長させる一つの方法は労働者を増やすことだ。もう一つは既存の人口をより効率的に活用すること。しかし中国の2つ目の問題は、予測者がかつて期待していた程のスピードで効率が上がりそうもないことにある。中国のより多くのリソースが老人ケアに使われるようになる。数十年に亘り作ってきた家や、道路や鉄道やインフラ投資のリターンは細って行くことになる。習近平の独裁的な傾向は、地場の企業家をより神経質にし、そのことは中国のイノベーション能力を長期的に弱らせてものとなる。地政学的な緊張も外国企業をしてサプライチェーンを中国から他国に移し、多角化させることとなる。アメリカは中国の基礎技術能力を妨害したいと考えており、中国企業への半導体や機械の輸出を禁止し、それは中国のGDPを減少させると思われる。

autocratic : 独裁的な、hobble : 妨害する、

第六段落:

これら全てが中国の経済成長可能性を長期的には弱らせることになる。12年前ゴールドマンサックスは2026年に中国はアメリカのGDPを超え、2050年には50%以上大きくなると予測していた。昨年彼らはアメリカを抜く時期を2035年に修正し、その後のピークもアメリカのGDPを最大で15%上回る程度と改めた。他社の予測はもっと暗い(悲観的)。もっともらしい予測は、中国とアメリカは次の10年で経済規模で同等になり、その後の数十年同等のまま続くであろうというものだ。

dampen : 弱らす、 gloomy:暗い、plausible : もっともらしい

第七段落:

中国はこのアメリカとの同等(差が付かずに2つの国の経済は同じ規模で続く)という平坦な軌跡(予測)にどう対処するだろうか?習近平は生産性を向上させるために、変化を行うだろう。彼は中国の経済のアニマルスピリッツに統制と活動により多くの自由を与えることで、成長を解き放つことが出来るだろう。中国は難しくて厄介な国ではないという態度を海外に対して取ることで、地政学的緊張を和らげ、企業に対して中国で経済活動を行うことは安全であると再度安心させることが可能だ。そういった改革は最終的には中国をよりパワフルにするかもしれないが、(今よりも)アグレッシブでなくなることを期待したい。問題(面倒)なのは、習近平が経済、政治的に自由化を受け入れるサインを全く示さないことだ。

trajectory : 軌跡、unleash:解き放つ、prickly : とげのある、厄介な、embrace : 受け入れる(元々の意味は抱擁する)

第八段落:


悲観者は中国経済の成長軌道が低迷するにつれて、中国はより好戦的になると怖れる。このことがもっともらしいとする理由は幾らでもある。習近平は危険なナショナリズムを扇動し、彼の統治を批判する者は中国を軽んじていると中国の一般的な国民を説得している。中国の軍事予算は年7%のスピードで拡大している。依然としてアメリカの予算よりも低いものの、差を縮めてきている。海軍力は30年までにアメリカより50%大きくなり、核兵器の規模は35年までに4倍まで拡大するかもしれない。Peak Chinaの著者は、中国の経済力はピークに達しているかもしれないが、世界でアメリカに伍する能力を持つ国は他にないと書いている。

combative:好戦的な、falter :行き詰る、低迷する、stoke:かき立てる、煽る、slight :侮辱する、軽んじる

第九段落:


それでも、最も有り得るシナリオはその真ん中だろう。過去20年の中国の勃興は、世界の経済や地政学秩序を不安定にし、その修正を強制してきた。そのような徹底的な経済秩序破壊はもう終わってきているだろう。そして、そのようなあらゆる困難にもかかわらず、中国の経済が縮小するということは考えにくい。習近平がどうするか予想はつかないものの、長期的には経済的に栄光もなければ大惨事にもならない。数十年に亘り、アメリカの同等の敵という状況を経験してきた中国は、自信過剰を慎み、台湾侵攻(という欲)を耐える・抑えるであろう。重大な問題は、超大国間でお互いの狙い・目的を読み間違えて、へまをして対立を起こすという事態を避けられるかということだ。

be in the middle ground : その間にある、intensive : 集中的な、徹底的な、nihilistic : 虚無的な、ニヒルな、冷たく醒めた、eschew:避ける、慎む、hubris : 自信過剰、near-peer : 同等(同じくらいの強さを持つ)に近い敵、crucial question : 重大な問題、stumble:へまをやる、しくじる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?