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ADKAR model(®Prosci)とセンスメイキング

つぶやき程度の雑文ですが、解き明かしたい課題として自分が忘れないためにも記しておきたく思い、書き綴ります。
 
「変革志向の組織」、「組織変革」、「ビジネストランスフォーメーション」といった”変革”という単語が入った課題が話題になっていない日はないのではないか?と思うくらい、日常的に接する単語のひとつに”変革”があります。多くの企業の中でも「変革をリードする人材」「挑戦する組織文化」みたいなことが issue になってきているのではないでしょうか?

チェンジマネジメントは「変革を組織文化として定着するところまで」をスコープにして取り組みます。私が学んだ Prosci Change Management ではこの定着に至るまでのプロセスを ADKAR モデル(®Prosci)で把握します。変革が定着する(=成功)鍵は、最初の A= awareness の形成と、その次の D= desire を十分にアイドリングすることだと私は考えています。このフェーズで関係者間に位相を残したまま先にフェーズ( KAR )に進むと、途中で軋み、時には無関心、無言の抵抗に遭ってしまい、変革の定着が実現しなくなる。

一方、人々の認識、その認識に至る前の関心は一律的に起こるわけではありません。人々が日常的に担う役割、職責によって関心事の優先順位も異なる。そういうものだと思います。となると、この バラバラの awareness と desire フェーズをどう乗り切るか?が重要な課題になります。

その KFS は強い Desire を共有する変革のリーディングチームの形成とそこから発信するコミュニケーションプランにあると考えています。この人たちが各組織の”変革”への意欲に着火していく(まるでオセロをひっくり返していくように)キーパーソンです。desire から後段の KAR へ進むときに、この変革リーダーが創り出す awareness と desire がその後の KAR フェーズの進捗に大きなインパクトを与えると捉えています。

ここまで長々と書いてしまいましたが、変革を最終的に組織に定着させるために、その鍵となるのはこの変革をリードするチームの形成ではないか、と着目しています。プロジェクトが一気呵成に一律的に進めるケースでも順次進めていくケースであっても、この「変革リードチーム」をどうやって形成するか、このチームの影響力次第でその達成状況は大きく変わるように思います。そして、ここで使えるアプローチのひとつに「ゴールデンサークル(*)を使ったリーディングチーム作り」があるかなと思い始めました。
*ゴールデンサークル理論はサイモン・シネック氏が提唱したものですが、ここでは詳細の説明は省略します。

「変革」の中身、すなわち From A to B がまだ具体的に決まっていない、仮に明確に定義できていないフェーズであったとしても、それに課題を感じているリーダーたちが集まれば Why と What を組織の枠を超えて議論することできるでしょう。このディスカッションから出てきた Why を源にして、何( What )を実現するのか?の語り合い(対話)そのものを組織内に共有していくことで”変革”に向き合う awareness が組織内で広まっていくでしょう。対話の途中のタイミングで、その対話の状況を公開し共有していくという進め方です。話の途中で共有するのはいかがなものなのか?と思えるかもしれません。私はむしろ途中だからこそ、そうした対話が関心の輪を広げることができると考えています。こうした対話が起こる(”起こす”でもある)場所を「交差点」と定義すると、その「交差点」で様々な人々がその対話を見て聞いて、そのうちそこから動機の連鎖が起こってくる。
ということは、そのような「交差点」を用意して、各人が持っている awareness と desire の交換による連鎖反応が起こるようにしていくと、変革のWhyとWhatの言語化や共有が自ずと進んでいく。この「交差点」での対話を通じて言語化された成果物はその後のプロセスで再活用可能だから組織においても広まりやすくなる、と思うのです。
 
時に、プロジェクトマネジメント側から入ったチェンジマネジメント・アプローチのリスクとして、各人が心の底に秘めている「動機」「desire」へのアプローチを軽視してしまいがちということはないでしょうか?
チェンジマネジメントは単なるコミュニケーションプランを作って実行することではないと思うのです。単にコミュニケーションプラン策定に走ると、
タスクとしてawareness や desire の押し付け合いだって始まってしまうかもしれません。それが変革のプロジェクトの進捗を難しくさせ、結果的にその変革は定着することができなくなる。
 
もちろん、経営的に時間がないときの緊急大手術のプロジェクトではそんな悠長な時間をかけて取り組むことができないので、awareness も desire もガツガツ強制していくしかありません。とにかく理解させる、acceptさせる(onboardさせる)に徹したチェンジマネジメントが必要でしょう。
ですが、この手のやり方のときも、最後にやっぱり手法をもう一度awareness と desire フェーズに立ち戻って
「起こったことの意味を考える=センスメイキング」プロセスが大切ではないかと思うのです。このセンスメイキングのプロセスを挿入し、改めてやってきたことを振り返る。それがきっかけとなり、結果的に組織内で「Why と What」を確認することが可能になる。その結果、いかに強制力から始まった変革プロジェクトであったとしても、その強制力がなくなったとしても定着した変革は減衰しなくなる。
*センスメイキングはアメリカの組織心理学者であるカール・ワイク氏を中心に広めた思考法ですが、ここでは説明は省略します。
 
チェンジマネジメントにおける ADKAR model (®Prosci)の派生バージョンとして、ADKAR+S(*Sはセンスメイキング)があるのかもしれません。


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