対話とリフレーミングについて理解する
大学院の授業で、「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンドソン著)を読みました。
エドモンドソンは、この著書の第3章で「フレーミングの力」を取り上げています。その中で「リーダーは、状況をフレーミングあるいはリフレーミングすることで、その状況に対する人々の対応の仕方やかかわり方に強力な影響をもたらせる」と述べています。そして、第3章のまとめでもあるLessons & Actionsの冒頭で
■フレームとは解釈であり、これを使って人は環境を感じて理解する。およそつねにフレームは自然に生まれる。
■リフレーミングは、自分の行動を変えたり人々に変わってもらったりするための強力なリーダーシップ・ツールである。
と掲げ、リーダーがチームを機能させる上でフレーミング、リフレーミングを使いこなすことの重要性を説いていました。
このフレーミング、リフレーミングの使い方について、私が「あ、こういうことか!」と腹落ちした記事を見つけましたので、それを紹介したいと思います。
その記事がこちらです。
この記事の中で吉野教授は、次のように述べられています。
マニュアルなどのルールには、組織の成長を促す側面がある
・不要なコンフリクトを事前に解消する調整機能がある
・ナレッジを蓄積でき、業務の属人化を防ぐことができる
・意思決定にかかる情報処理コストを節約できる
マニュアルがあるからこそ「不測の事態」が明確になる
ルールがしっかりしていれば、ルールで決められていないことがより明確化されます。何が例外なのかをすぐに判断できますし、より適切な方策が見つかったときにルールに反映していくことで、組織にナレッジが貯まります。つまり、ルールによって組織が常にアップデートされ続ける環境が生み出されるのです。
ルールというものの意味を上記のように理解していると、ルールが社員を受動的にするのではなく、むしろ自律性を高め、不測の事態における主体的な行動さえも可能せしめるものとして作用する。そのような存在としてルールが組織の中で人々に受け止められ、浸透していくということなのでしょう。
私たちはルールは守るべきもの、守られるべきものとして理解し、それを遵守し逸脱しないように行動します。しかし、上記のような理解をしていると、ルールにないことが起こったときに、それを活かして組織(チーム)が正しくパフォーマンスできるように人々は主体的に動けるようになる。故に、リーダーが日頃からどのようにフレーミングして(解釈して)、伝えているのか、ということがとても重要なのだと理解しました。
私たちは様々な認知バイアスの中で生きています。むしろ、その認知バイアスがあるから暮らしやすくなっている、人々は協働しやすくなっているという側面もあると思います。しかし、ときには、その組織やチームの中にある既存のフレーム(解釈)を再考してみる(=リフレーミング)ことが組織開発には必要なのかもしれません。そして、そのリフレーミングするプロセスが「組織における対話の目的」になるではないでしょうか。
対話は必ずしも結論を出すものばかりではない。結論を出すための対話は「議論」であると区別すると、結論を出さない対話というものは「ともにリフレーミングする」ことが目的であるのかもしれません。リフレーミングするプロセスこそが「対話」であり、対話という行為を通じてそれぞれが新たなフレーム=解釈を得ていくことができるのかもしれません。
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