体感覚を表す日本語「肩の荷が下りる」
「肩の荷が下りる」という言葉を辞書で調べてみると、
「責任や負担から解放されて楽になる」
という意味が出てくる。
「肩」単体でも「背負った責任」という意味があるそうだ。
最近、ようやく僕の肩の荷も下りた。
といっても僕の肩の荷が下りた理由は、何かの仕事の責任から解放されたからではない。物理的に肩の力が抜け、肩甲骨が適切なポジションに収まり、肩や腕が軽くなって息がしやすくなり、気持ちも軽くなった。
この体の感覚を実感したので、「肩の荷が下りた」と表現した。
僕は姿勢や体の使い方を教えること仕事にしていて、普段から自分の体の状態を観察している。
その中で最近、肩の荷が下りるという感覚を発見したというわけだ。
昔の日本人は、明らかに体の感覚と気持ちの状態の関連性に気づいていた。
日本人なら誰でも日常的に使っている、
「懐が深い」「地に足をつける」「腹落ちする」
といった言葉は単なる比喩ではなく、気持ちと実際の体感覚の関連性を表したものだ。
懐が深い→ 心が広く包容力がある
地に足をつける→ 考え方や行動がしっかりしていて、落ちついている
腹落ちする→ 言われた内容に心から納得している状態
このような精神状態になっている時、必ず体感覚も伴うことを表した言葉だ。
体感覚を養うことで、このような気持ちの状態、理想のコンディションを自ら積極的に作っていくことができる。
今の世の中ではほとんど忘れられてしまった、この心身一如の原理と技法を伝えていくのが僕の仕事だ。