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高尾山の木にあいにいく
[ゆのきようこ/文 陣崎草子/絵 理論社]
東京近郊に暮らしている人なら必ず一度は登ったことがある(はずの)高尾山の木々について描かれた本です。
最近はミシュランガイドで有名になりましたが高尾山は昔から開けた観光の山でした。もちろん山伏のいる薬王院のある修験のお山でもあり、古くからある沿道の店みせの主たちはみな誇り高いお山でもあります。
しかしなんと言っても高尾山の魅力はそこに棲む動物植物の多様な自然体系にあります。冷温帯と暖温帯が同居する珍しい植生を誇る山なのです。
と、頭では知っていました。図鑑も何冊も出ています。私自身何度登ったか数えきれないくらいです。先月も登りました。
先月私はケーブルカーで登りました。この絵本では右手にケーブルカーを見ながらびわ滝に向かいますから、6号路を登っています。沢沿いなので湿気があり、杉の樹皮はさわるといつも湿っています。でも右下に降りる沢沿いにハナイカダがあるなんて知りませんでした。飛び石の道のあとの山頂へ向かう階段がきついのは身に染みて知っています。
高尾山は小さな山です。でもあの地面の隆起にこんなに多様なこんなにたくさんの自然が詰めこまれているなんて、知らないで降りてきたらもったいない。
高尾山を登り始めると土と緑の混じった湿度の高い匂いがします。鼻がツーンと澄む匂いです。フィトンチッドの匂いです。濃淡様々な木々や草ぐさの葉っぱの色、茶色や黒灰色の樹皮と根っこと山肌の土の色。初夏です。高尾山が呼んでいます。(み)