いじけブックス

みっちゃん(図書館司書)、むっちゃん(元小学校図書担当教員)、よっちゃん(日本語教師)、まっちゃん(元児童文庫編集長)の4人が、大人になって読んだらよかった児童向けの本を揃えていく本棚を作りました。予算とかラインナップとかスペースとか無問題! ゆるーくアップしていきます。

いじけブックス

みっちゃん(図書館司書)、むっちゃん(元小学校図書担当教員)、よっちゃん(日本語教師)、まっちゃん(元児童文庫編集長)の4人が、大人になって読んだらよかった児童向けの本を揃えていく本棚を作りました。予算とかラインナップとかスペースとか無問題! ゆるーくアップしていきます。

最近の記事

つきみのまつり〔羽尻利門 世界文化社 978-4-418-23835-4〕

もし9月に読み聞かせをする機会があったらこの本を読みたい。残念ながらそのチャンスに恵まれないまま退職しました。 四国に一度も行ったことがないけれど、徳島県阿南市にある津峯(つのみね)神社の観月祭にぜひ行ってみたい。こちらはなんとかなるでしょうか。 まるで一編の短編アニメ映画を堪能した気持ちになりました。絵本とアニメを一緒に語りたくはないのですが、この濃密な世界から聞こえてくる虫の声、流れ出るひんやりした夜の空気、そして何度も何度でも繰り返し眺めたくなる景色、社、紺青の夜空の色

    • じめんのうえとじめんのした

      [アーマ=E=ウェバー/ぶん.え 藤枝澪子/訳 福音館書店] 地震があったら竹林に逃げ込むといいんだって! 竹の根っこは横に広がってはえているから安全らしい。杉の木の根はまっすぐ下に伸びるから、いざというときにはドーンと倒れてしまうらしいよ。 どこかで聞きかじった知識は、この本を読んだとき一気に理解納得して身についた。 幼い頭の一隅に光合成と植物連鎖についての知識の種を埋めておいたら、生きるための羅針盤になるのではないかと思う。(み)

      • 消えゆくくらしのモノ事典 岩崎書店編集部/編著 岩崎書店

        駅の伝言板。この言葉でああ、あれねとすぐわかる方は今どれくらいいるのでしょう。駅の構内に黒板のようなものがありました。今のホワイトボードのような感じです。           私は昔友人と待ち合わせしたときに伝言板の前で待ちぼうけをしたことがあります。伝言板に伝言はなく立ち尽くすこと30分。もしや裏側もあるのではと気づいて裏に回ったら、友人も裏側でずっと私を待っていました。伝言板には時刻・名前と「 先に行きます」とか、待ち合わせ場所の変更などを書いていました。一定の時間が過ぎ

        • わらしべちょうじゃ

          [さいごう たけひこ/ぶん   さとう ちゅうりょう/え   ポプラ社] 貧乏な男がたまたま手にしたわらしべ一本。わらしべはみかん三つに、そして反物三反に、さらに馬一匹へと変わっていき、やがて男はりっぱなやしきと広い田んぼを手に入れた。 この有名なお話の絵本はたくさんあります。  その中でもぴか一の、いや数ある昔話絵本の中でも心に残る一冊だと思います。                  佐藤忠良のおおらかで品格ある明るい絵と、西郷竹彦の素朴でゆったりした文がテンポよく物語

          月のひみつシリーズ

          [藤井 旭/監修・写真   ほるぷ出版] 月齢15日の見事な満月の写真から月齢0の新月を経て月齢28日までの月の写真を載せた『月のかたち』。  太陽と地球と月の位置によって月のかたちが変わることを美しい写真とイラストで説明する『月のみちかけ』。           月は東から出ておよそ6時間後、南の一番高いところにのぼり、そしてまたおよそ6時間後西に沈む動きを時間ごとの写真を並べて解説する『月の出と月の入り』。 太陽の位置と地球の自転・月の公転によって、私たちが見る月の形

          月のひみつシリーズ

          蛾蝶記

          [海野和男   福音館書店] 怖くて美しくて目が離せない写真集です。       日本の蛾や蝶が卵から幼虫、さなぎから成虫へと変身していく姿が自然の中の生態そのままに撮影されています。科学的な写真もあるのですが、その美しいこと、恐ろしいこと、ユーモアにあふれていること。百聞は一見に如かず。読んでもらうしかありません。 蝶がこんなに美しかったとは知りませんでした。青空の下風に乗って翔ぶさま、色とりどりの花の蜜を吸う姿。羽の色かたち。              はたまた信じら

          フランシスのいえで

          [ラッセル・ホーバン/さく  リリアン・ホーバン/え  まつおかきょうこ/やく    好学社] ♪ながしのしたには ふきんが あるよ バケツも  たわしも わたしも いるよ ポトリン ポトリン  ポトリンコン♪ あかちゃんのグローリアにミルクを飲ませているおかあさんを見ながらフランシスは台所の流しの下で歌います。このごろいろんなことが思うようにいかなくなったと感じたフランシスは家出をすることにしました。夕ごはんを食べたあとリュックサックに大事なものをつめたフランシスは食堂

          フランシスのいえで

          地球

          [加古里子 ぶん/え  福音館書店] てんぐちゃんの作者であるかこさとしの科学絵本を読んでいると、手塚治虫の顔を思い浮かべてしまいます。日本には天才がいます。子どもにも読めておとなの鑑賞にも耐える、どころか、おとなになっても何度も読み返し、そのつど理解を深めていく作品を描く人たち。マンガを、絵本を、どれだけ勉強探求して描いていたのでしょう。 それにしてもこの『地球』ですが、私は聞きたい。いったい何歳の子どもを対象に描いたのですか?と。本文はひらがなとカタカナだけです。でも

          ちいさいおうち

          [バージニア・リー・バートン/文・絵  石井桃子/訳  岩波書店] 明るい青の表紙の色を見れば、誰でもこの絵本を思い浮かべるでしょう。石井桃子訳の丁寧な日本語のリズムのなんと心地よいことか。できるなら誰かにゆっくり読んでもらいながら、自分の膝にこの絵本を載せてじっくり隅々まで眺めていたくなる本です。       農家の庭先のドレスとタキシード姿の 母さん父さんと3人の子どもたち。納屋が建って馬や牛が肥り畑の作物は育ちりんごの実が熟していく。お日様と月が何度もめぐって四季が

          ちいさいおうち

          もりのなか

          [マリー・ホール・エッツ/ぶん・え  まさきるりこ/やく  福音館書店] この絵本には思い出があります。お話し会でこの本を読むことになったときのことです。茶色の表紙、モノトーンの絵、お話もなんだかピンとこなくて、有名な絵本だけれど私はそれほど好きな絵本ではありませんでした。けれど、お話し会の本選びは好きな本だけでは決められません。私は家に帰って下読みしました。 下読みをするときはいつも何度も黙読します。最初は文を追って。それから絵も見ながら。そして全体を通して黙読します。

          高尾山の木にあいにいく

          [ゆのきようこ/文  陣崎草子/絵  理論社] 東京近郊に暮らしている人なら必ず一度は登ったことがある(はずの)高尾山の木々について描かれた本です。 最近はミシュランガイドで有名になりましたが高尾山は昔から開けた観光の山でした。もちろん山伏のいる薬王院のある修験のお山でもあり、古くからある沿道の店みせの主たちはみな誇り高いお山でもあります。 しかしなんと言っても高尾山の魅力はそこに棲む動物植物の多様な自然体系にあります。冷温帯と暖温帯が同居する珍しい植生を誇る山なのです

          高尾山の木にあいにいく

          ぐりとぐら

          [山脇百合子 絵   中川李枝子 文 福音館書店] 「このよでいちばんすきなこと おりょうりすること たべること」 ぐりぐらぐりぐらの繰り返しが楽しい、絵本といえばこの1冊。青い帽子のぐりと赤い帽子のぐらが織りなす、世界共通の楽しみと喜びに満ちた幸せな物語。 絵と文のバランスが絶妙です。横長の白い余白がその世界を支えます。(み)

          わたし

          [長新太/絵 谷川俊太郎/文  福音館書店] わたし。親から見ると娘。外国人から見ると日本人。 こんなふうに自分のことを感じられていたら息をするのがもう少し楽だったかもしれない。 これほど簡単な言葉で、絵で、しかも数ページで、レーゾンデートル(いやアイデンティティーか)を考えさせてくれる。絵本ってやっぱりすごい。(み)

          はぐ

          [佐々木マキ  福音館書店] しずかなうみべで   しまうまさんとらくださんが    わにくんとぺんぎんさんが   あいたかったよー   はぐ していい? げんきにしてた? 2011年9月に発行された『こどものとも年少版11月号』に掲載されました。 おじさーん どこ いってたのー あえて よかったー 静かに心満たされる不思議な魅力のあるこの絵本の出版年に目が留まります。(み)

          タンゲくん

          [片山健 福音館書店] 夕飯時の茶の間に上がりこんできたのら猫は、片方の目がつぶれていました。 タンゲくんと名付けられた猫と私の物語。猫と暮らすとはどういうことか、淡々とかつ濃密に教えられます。 タンゲくんの飼い主に私もなりたい。(み)

          ほね ほね きょうりゅうのほね

          [バイロン バートン/さく 掛川恭子/訳 ポプラ社] ほねはどこだ ほねはどこだ   ステゴザウルス アバトサウルス トリケラトブス  … 鮮やかな色。骨太な線。  歯切れよいことばとともに組み立てられていく恐竜の骨。バートンならではの単純なフォルムに凝縮されたリア ルな科学的世界。鮮やかな色に目を奪われてしまうけれど、ここに本物の標本がそそりたつ。圧倒的な力強さを楽しむ絵本。(み)

          ほね ほね きょうりゅうのほね