アはアーケードのア 第25回『ドラゴンスピリット』(1987年/ナムコ)
それはナムコにおける『ゼビウス』へのアンサー的なゲームだったのかもしれない
『ドラゴンスピリット』は、ナムコのアーケードシューティングとしては『ゼビウス』以来、当時約4年ぶりに発売されたゲームです。
ぼくも当時(新バージョンであれば)1クレジットでクリアできた思い出深いゲームです。
ナムコのシューティングゲーム史をたどってみるに、『ギャラクシアン』や『ゼビウス』辺りまでさかのぼると、それらはたとえばゲームのスピード感であったり、ステージ単位のストーリー展開やパワーアップ要素の有無であったり、「いま遊んでもおもしろいゲーム」というよりは、のちの時代のシューティングの原点となった黎明期のプリミティブな名作的位置づけだと感じます。もちろん、あくまでぼくの個人的な見解であって、異論はあると思いますが。
そして、'80年代中期から後半にかけて、そうしたオリジンの薫陶を受け、各社からさまざまに進化した2Dシューティングの傑作が生まれました。
それはたとえば、『グラディウス』であり、『R-TYPE』であり、『ダライアス』であり、そしてその一つが『ドラゴンスピリット』でした。それらのゲームで用いられた考えかたは、いまでもある程度通用しているように思います。
縦スクロールでギミック満載というユニークなシューティング
『ドラゴンスピリット』がおもしろいのは、縦スクロールシューティングにもかかわらず地形ヒットがあって、それに絡めたギミックが豊富で、攻略がよりパズル的なところだと思うのです。縦方向でこういうタイプの良作シューティングというと、ほかにも『イメージファイト』などがあるものの、かなり少ないでしょう。
こうしたギミックがあることで、(敵味方ともに)必ずしも弾の量で押し切ることなく難易度をつけて、ゲームをおもしろくしているところが秀逸です。
毎エリア、すごく几帳面にギミックを盛り込んでいて、それも小エリア単位で展開が細かく区切られています。何というか、とてもつくりが折り目正しい。最終エリアなんて3エリア分ぐらいあるんじゃないかという量のギミックを盛り込んでいて(言い過ぎ?)、最後まで息切れせずエネルギッシュにつくり込まれています。
『ドラゴンスピリット』はたしかプログラマのKYOTA氏がシューティングがつくりたくて始まったプロジェクトで、そこにほとんど新人に近かった石川達也さんや細江慎治さんをはじめとするメンバーが入ったという、すごく若いチームで、その勢いと粘り強さがゲームにも表れていたように思います。 了
ところでこの連載、もともとはあいうえお順にゲームタイトルを選んで50音を埋めるつもりで始めたのですが、なかなか進まなくて、とうとう今回は、以前すでに書いた「と」被りを選んでしまいました。今後はなりゆきで考えます。
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