アはアーケードのア 第39回『スペースバトル』(1980年/豊栄産業)
『ムーンクレスタ』+『ミサイルコマンド』的なシューティング
友人のAEX-RYU氏所蔵のアーケードゲーム『スペースバトル』をプレイさせていただきました。当時一度も見たことがなく、今回が初プレイです。
いわゆる『ギャラクシアン』基板をベースにつくられたゲームの一つでしょうか。敵の動きにかんしては『ムーンクレスタ』にかなり近い印象です。
各ステージ1種類の敵が出てきて、それを全滅すると次のステージへ進みます。画面下部には守るべき基地があり、クリア時に残った数に応じてボーナスが入ります。
この時期、アタリの『ミサイルコマンド』というゲームがありました。日本においてはそこまで大きなヒットを飛ばしたわけではなかったと思うのですが、それまでに見たこともないタイプのゲームだったこともあり、国内のゲーム会社に与えた影響は大きかったらしく、その後、街だったり基地だったりを守るゲームがいくつもリリースされました。豊栄も『フューチャーフラッシュ』『スペースバトル』と2つの『ミサイルコマンド』リスペクトゲームを出しています。
自機が徐々に上に上がっていくペナルティ(?)システム
ビックリしたのが、戦闘中に自機の座標が徐々に上がっていき難しくなっていくというルールです。『アストロファイター』『コスミックエイリアン』以外にも自機がせり上がるゲームがあったんですね。割と変なアイデアだと思うのですが、当時最初にやったゲームを見てほかが真似したのか、自然発生的に広がったのか、どちらなんだろう?
2方向移動のシューティングって自由度が低いゆえ繊細なところがあって、自機のY座標が固定されているということは、そのラインを基準に敵の攻撃(体当たり等)をデリケートに決めていく必要があるわけで、そこで配慮なく自機のY座標が変わってしまうと、ゲームそのものがメチャクチャになってしまいます。
言葉を選ばずに書いてしまいましたが、これらのゲームはそれをやってしまっているんですね。
たぶん、当時いかにして難易度を上げていくかのアイデアの一つとして、このせり上がりシステムが採用されたと思うのですが、この『スペースバトル』もタイミングによっては「自機の移動可能領域」と「敵の軌道」の大半が被るなど、遊んでいてかなり厳しい局面が発生します。正直にいうと良作とはいいがたいゲームです。
まあ……そういうちょっと変な仕様も含めて、今改めて創成期のゲームを見ると本当に味わい深いし楽しいのですけどね。
『スペースバトル』を開発した豊栄は、その後コアランドテクノロジー→バンプレストと社名を変更し、現在はブランド名としてだけその名を残しています。
さまざまな「何かを守りながら戦うゲーム」
余談ですが、このころ「何かを守りながら戦うゲーム」といえば、『チーキーマウス』『ジ・エンド』『スピーク&レスキュー』『スペースタクティクス』『キング&バルーン』『タンクバタリアン』『赤ずきん』等々、けっこういろいろあるんですよね。今回は割愛しますが、こうしたゲームシステムとゲーム性や難易度の関係も考察していくとおもしろいと思います。
ちょっと特殊な仕組みですが、『トランキライザーガン』も守る要素がありましたね。動物を捕らえたジープに注意しないと、ゴリラがやってきて逃がしてしまう。たとえていうと缶蹴りのような感覚。動物保護の観点から、もう『トランキライザーガン』の移植は難しいのかな。 了
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?