見出し画像

「安定なんてつまらない」と言っている私が、人に安定を提供しようとする

「安定なんてつまらない」。ずっとそう思ってきた。波乱万丈の人生のほうが刺激的だし、学びも多い。私は精神障害者としての経験を経て、安定を求めるよりも変化や挑戦に価値を見出すようになった。安定に固執するあまりに人が持つ可能性を狭めてしまうのではないか、そんな考えが私の中にはあった。しかし、今私は、精神障害者を受け入れる会社を作ろうとしている。それは「安定」を提供することを目指すものであり、自分の考え方との矛盾に直面している。

精神障害者が社会で働く上で、安定した環境や理解のある職場は非常に重要だ。それがなければ、ストレスや不安に押しつぶされてしまい、結果として能力を発揮できなくなる。しかし、安定を与えるということは、私がこれまで「つまらない」と感じていたものを提供することになる。それは、まるで自分自身を否定するかのような感覚だ。

一方で、私は知っている。安定がなければ挑戦も生まれないということを。精神障害を抱えた人々が安心して働ける環境があれば、彼らは自分の力を存分に発揮できる。その先にこそ、新しい挑戦や変化が生まれる可能性があるのだと。それは私自身の経験からも明らかだ。かつて理解のある職場に出会えたことで、私は自分の能力を試す機会を得た。そして、その経験が今の私を形作っている。

結局のところ、私が求めている「安定」とは、単なる停滞ではなく、挑戦への土台を提供することなのだろう。矛盾しているようで、実はその中に真理があるのではないかと感じ始めている。安定を「つまらない」と決めつけていた過去の自分と向き合いながら、私はこの新しい挑戦に向き合っていこうと思う。

いいなと思ったら応援しよう!