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昔書いた小説:【少年少女終末恋愛】

ハルカ:「あ、流れ星だよ、くまくん。あれ、もしかして超高速新星? 地球に落ちてくる?」

くま:「ちくしょー、ハルカさん、ずっと好きだった!」

ハルカ:「え、このタイミングで? 私他に好きな人いるよ?」

くま:「学校行っても家にいても君のことしか考えられない! 僕は親も兄弟も大嫌いだし、クラスメイトもちょっと仲良い程度だけど、君だけは別だ! 君を知ったことによって生きる意味も知れた!」

ハルカ:「そんなこと言ったって考えは変わらないよ。たとえ3分後にあの星が地球を炎で包んでも私はあなたを恋愛対象として見れない」

くま:「そんなことはもういいんだ! 僕達は今こうして中学生という立場で、友達同士で、一緒に学校から帰れてるだけでも最高に嬉しいんだ! 好きな人と恋人関係になるとか夫婦とかセックスとか、人間は何でそんなくだらない御託ばかり並べるんだ! 好きな人のこと好きでいられて、好きと打ち明けて何が悪い! 僕は、君という一生の幸せそのものが、『笑ってる』! 『それでいて僕を和ませる』! それだけで嬉しくてたまらないんだ! 君の幸せを見れたのなら、僕は自分の身体なんか丸焦げになって、地面の炭として永遠に刻み込まれたっていいんだ! 地面に縛られても、君のことを最後まで見れた! 思えた! そばにいた! その思い出だけでずっと封じられてもいいんだ!
もう近いところまで新星は落ちてきて、地球に衝突しようとしている! 周りの人間は皆パニックだ! でも、今の僕は、世界で一番嬉しく笑っている! 君が目の前にいるからだ! だけど、ただ、君を最後まで見れてよかった!」

ハルカ:「あーあ、遠くを眺めてよく見てみると私の好きな人の家が燃えてる。この分だとあと数十秒で私達も黒焦げかもなぁ。ねえ、くまくん」

くま:「ハルカさん」

ハルカ:「ちょっとゲームしようよ。10秒さんぽゲーム。ルールは簡単。こうして手を繋いでーー」

くま:「(手、あったかい……)」

ハルカ:「先に生き残った方が勝ち。先に死ぬか死にそうになった方が負けで、勝った相手に、生きているうちに自分の想いを告白しなきゃいけない。でもこの調子じゃ、どっちも死んじゃうから、おあいこだろーなー。それじゃ、ぎゅっと手を繋いでいてね。歩きましょう」

【チョウシンセイチキュウジョウニテバクハツ】

数時間後 瓦礫の山の下。くまだけが自力で脱出する。

くま:「…………オレが勝つってことは相手が死んでしまっているか今際の際、ってことじゃん!? しかも何でオレの周りはオレだけ生きてるの!? みんな死んだのかよ? ハルカさんはどこだ!」

ハルカ:「この下にいるよ~」

くま:「こっちのがれきの中の下側で埋もれてるんだね。これくらいならオレだけの力で何とかなりそうだ。待ってて、今すぐ助けるから」

ハルカ:「いらない、ゲームは私の負け」

くま:「何で? ハッ、もしかして、もう死にそうだとでも言うのか!?」

ハルカ:「ううん、奇跡的に体は無事だよ~。でも心は最悪。好きな人はおそらく死んじゃっただろうし、この世で生き残ったのは私とくまくんだけかも知れないし。ねえ、私のこと、ここから出しても、私はくまくんと一緒にならないよ? それでもいいの?」

くま:「馬鹿なことをいうな! それで死なす訳がないだろう! 待ってろ、今すぐ助ける!」

ハルカ:「助かった途端、私があなたを殺しても?」

くま:「もちろんだ!」

ハルカ:「この超新星呼び出したのが実は私で、理由は『好きな人にふられちゃって世界が全て嫌になったから』という最低な女であっても?」

くま:「あたりまえだ!」

ハルカ:「わかった、じゃあすぐに助け出してね」

くま:「…………ハァ、うぐぐぐぐッ! よしっ、もうここまで瓦礫を掘り起こせば。ハルカさん、僕の手を握って」

ハルカ:「うん」

くま:「僕は、綺麗事を言っていたよ。君さえ笑っていればいい、なんて大嘘だ。でも、2人で永遠に一緒になること、それが僕の一番の願い。それは嘘じゃない」

ハルカ:「ゲームは、あのまま瓦礫に埋もれていたら先に死んでいただろう私の負けね。約束通り自分の想いを告白するね。

わたしもくまくんと2人きりでいられるようになれてよかった

でも、くまくんのことやっぱり恋愛対象とも性的対象とも見れないよ。自分の気持ちに嘘はつけないからね。でも、何となくくまくんといると、これからこの滅びた地球上での生活も楽しいと思えるようになって、これから毎日死ぬまで楽しくおしゃべりしようと思っている。それでいいかしら?」

くま:「もちろんだ!」

ハルカ:「うん、えーっと……これからこの世に2人だけーーだけどよろしく。命救ってくれたお礼にキスだけはしてあげる」

♡SMACK!♡

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N H K

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