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やっぱり社長になったような感覚が薄い

これまでITフリーランスとして、AIの研究やアプリ開発に没頭してきた。機械学習のモデルを調整し、データ分析の精度を上げ、コードを書き、時には最新の論文を読み漁る。そんな日々が続いたが、徐々にWeb開発の案件も増えていった。

「AIだけじゃなく、Webもできる?」そんな問い合わせが増え、気がつけばWebアプリの開発も請け負うようになっていた。そして、次第に一人で完結できる仕事の枠を超え、チームを組むことが必要になった。エンジニアを探し、デザイナーと連携し、クライアントと折衝しながらプロジェクトを進める。その流れの中で、ついに自分の会社を設立することになった。

法人を登記し、社長という肩書きを手に入れた。しかし、不思議なことに「社長になった」という実感がほとんどない。むしろ、日々の仕事はこれまでと大差ない。プロジェクトの進行管理やクライアントとの打ち合わせ、そして新しい技術のキャッチアップ。書類の処理が増えたことと、税務や経理を考える必要が出てきたくらいで、本質的には「エンジニア」としての仕事を続けている。

世間的には「会社の経営者=社長」というイメージがある。スーツを着てオフィスに出社し、大勢の部下を指揮しながら事業の方針を決める。そんな姿を想像する人もいるかもしれない。でも、実際のところ、自分の仕事は今もほぼ手を動かすエンジニアのままだ。新しい技術を試し、コードを書き、エラーと格闘する。だから「社長」という肩書きがしっくりこないのだ。

ただ、責任は確実に増した。フリーランスの頃は自分の仕事だけを考えればよかったが、今はメンバーの仕事やクライアントの期待にも応えなければならない。契約や売上のことも頭に入れつつ、プロジェクトを進める必要がある。その重圧はあるが、「社長らしさ」はまだ見えてこない。

もしかすると、本当の意味で「社長になった」と感じるのは、エンジニアとしての仕事よりも、経営の仕事に時間を割くようになった時なのかもしれない。だが、今のところはまだ、エンジニアであり続けたいという気持ちの方が強い。

結局のところ、肩書きが変わっても、自分のやることは大きくは変わらないのだろう。社長である前に、エンジニアであり続ける。そう思うと、肩書きに囚われず、今まで通り技術を磨きながら事業を拡大していけばいいのかもしれない。


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