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或る日、イタリアで tre -3


料理を生業としている僕、久嶋健嗣は、イタリアの家庭料理に触れてみたくて、2010年にイタリアへ渡り、2ヶ月間、ホームステイ先のマンマに現地の家庭料理を教わりました。これは、当時、現地で書き留めた日記やレシピをそのまま載せた、僕の思い出の記録です。

僕が見たイタリアを、マンマから教わったちいさなレシピとともに、おたのしみください。イラストは、当時、僕が見た風景、光景を思い起こしながら描いています。


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martedi,26.Ottobre.2010


「からだに気をくばる」

毎朝ひく、カード。
今朝、カードをきっていたら部屋にきたCleliaに、なんの遊びをしているの?ときかれる。
ちょっと、説明するのが難しい。
カードでする占いみたいなものだよ、と言ったら、すごくかわいらしいカードだと感心してくれた。
24枚のカードに、1枚に一つずつ、日々のくらしのヒントになるようなキーワードが書かれている。
たいていその言葉を忘れて1日が過ぎるが、おもしろいことに、振り返ってみると、言葉とつながっているような出来事が、起こっていたりする。
今日から、ひくカードを1枚にしてみる。

イタリア人は、本当に雨が嫌い、らしい。
Cleliaも、学校の先生たちも、みんな、今日は雨だから嫌になっちゃう、とか、家で寝ているのに最適な日だ、とか言っている。
休憩時間に、見習いの先生、Mauraに、イタリア人は本当に雨がきらいみたいですね、僕はわりと好きなんだけど、と話したら、Mauraの友達にもそういう人はいるけれど、かなりの変わり者で、雨でも傘をささずに、濡れるのが好きなのだそうだ。

学校が終わり、決めていたとおり、Paoloさんのリストランテに行く。
今日は、手打ちパスタのトマトソースを注文する。Paoloさんが賄いで食べていた分の、ブロッコリーやトマトの入ったスープも出してくれる。
ドルチェのBABA`を食べたことある?と聞かれ、ない、というと、しっかり1人前、出してくれた。
アルコールをたっぷり染み込ませたBABA`。
すごく甘いけれど、おいしい。
caffe`ももらう。
今日も、パスタの分のお金だけでいい、という。
ちょっとだけ多く払ってありがたく受ける。

今日来たら、おねがいしようと決めていたこと。
厨房のなかで、料理を作るのを見たい、というのと、手打ちパスタを作っているのを見せてほしい、と頼んでみる。すると、あっさり、いいよ、もちろん、と。
料理は、夜には満席になるからその時のほうがいいだろう、いつでも見に来ていいよ、とのこと。
そしてパスタは、違うところで作ってもらっているから、今度連れていってくれる、という。
リストランテは、夜8時からだそうなので、Cleliaとの夕食時と重なってしまうけれど、今度Cleliaに相談してみよう。
パスタは、木曜に、Paoloさんがスクーターに乗せていってくれる約束をした。
シェフをしている、Silvioさんと挨拶をする。Paoloさんの従兄弟だそうだ。

夕食は
fusilli(Clelia手打ちの。フジッリ、日本で売っているのと同じ名前だが、形は違い、長いマッケローニのような感じ)のトマト・モッツァレッラソース
ちいさな白身魚のフリット(鮎みたいな、川魚のような淡白な味で日本人好みと思う)
fagiolini(さやいんげん)を茹でて、オイル、バルサミコ、バジリコ、塩、にんにくで和えたもの。
PEPERONI A GRATE`(まえに教わった料理)。
メロン。
マンダリーノ(みかん)。

夕食前に、Cleliaが説明してくれたが、その時はどういうことかよくわからず。食べ終わってから聞き直したら、もう一度説明してくれて、それでやっとわかる。
下の階のおばちゃんがSEPPIE AL SUGO (墨イカのソース)を、今晩、夕食後に教えに来てくれるという。
おばちゃんが言っていることは、いつもほとんど理解できないのだが、料理ならば手元を見ていれば、だいたいどんなことを伝えたいのかがわかる。
墨イカの処理(皮剥いて、軟骨を取り、目玉とくちばしをとり…)をしておく。
オイルににんにくの粗みじん切りを少しいれ、火にかけ、トマトの水煮を入れ、そこにイカを載せ、プレッツェーモロ(パセリ)ちょっと。
沸いたら蓋をし、弱火でじっくりと火を通していく。40分くらい。
これは、明日のためのもの。


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