結果-錦鯉の成長③-
鱗の表面を顕微鏡で拡大してみると、あたかも木の年輪のように同心円状の縞模様がみられる。これは鱗の頭側及び上・下には明瞭に認めるが、表皮におおわれた尾側は明瞭ではない。この縞模様はridge(たかまり)であり、ridge間の距離は辺縁にいくほどやや広くなっている。
このridge間の距離が大きい鯉の鱗と小さい鯉の鱗とで比較したが、相対する部位において余り差がなかった。つまり、一度形成されたridgeの位置は成長によって大きく移動することはないと推測される(図1)
一方、鱗にはこの縞模様のほかに放射状に走る条が観察される。これは条溝といわれ、やはり鱗の頭側に多く、あたかもridgeを寸断するように走っている。鱗の上・下には少ない。これらridge及び条溝は同一の中心点(中心核)を有するかのように見える。こうした形態学的特徴は、ソフテックスやマイクログラフィーでも知ることが出来る。
特に、マイクログラフィーでは、ridgeは白い線としてX線透過性が低く、条溝は黒い線としてX線透過性が高いことを示し、ridgeは山であり条溝は溝であるという形態的特徴を証明し、かつ、これらの位置関係をわかりやすく写し出している(図2・図3)鱗の表面を顕微鏡で拡大してみると、あたかも木の年輪のように同心円状の縞模様がみられる。これは鱗の頭側及び上・下には明瞭に認めるが、表皮におおわれた尾側は明瞭ではない。この縞模様はridge(たかまり)であり、ridge間の距離は辺縁にいくほどやや広くなっている。
このridge間の距離が大きい鯉の鱗と小さい鯉の鱗とで比較したが、相対する部位において余り差がなかった。つまり、一度形成されたridgeの位置は成長によって大きく移動することはないと推測される(図1)
次に、H・E染色による鱗の断面を観察したが、偶然にも鱗と真皮部分の移行部を観察することができた。あたかも自然に真皮から鱗の部分へ移行形成していくのはわかる。(図4)
これは鱗の辺縁がその成長拡大に関与していると推測するに十分な初見である。一見無構造で均一なピンク色に染色されている鱗の表面には、細胞が並んでいるが、鱗自体には全く細胞成分はなく、ヒトにおける軟骨や骨組織とは異なるものであることがわかる。