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愛鯉の総点検を-5月の魚病対策-
今年は大変厳しい冬が続き、「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉も全く無視されたように、例年より4〜5月℃も水温の低い日が続きました。皆さんの愛鯉の状態はいかがでしょうか。
例年ですと、5月も下旬になると水温は15〜16℃近くまで上昇します。この頃はいろいろな植物、水草や藻、プランクトン、そして鯉自身も活動的になってくるとともに、各種寄生虫や細菌類も入り乱れて繁殖する時期でもありますので、餌付けの注意とともに、定期投薬が大切になります(図1)。3月の図1も参考に投薬を行って下さい。
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愛鯉の総点検を
水温が20℃に近づき、更に夏に向かって上昇しようとするこの時期は、鯉の体表の軽い傷や皮膚病等は余り心配するものではなく、簡単な局所治癒で治っていきます。
治りにくい穴あき病でも、夏になって水温が25℃以上になりますと自然治癒力傾向を示します。したがって、この機会を逃すことなく、冬から春にかけて羅患した皮膚病や傷、イカリ虫の跡など、まとめてキチンと治療して、長引いたり、こじらせたりしないようにすることが重要なポイントとなります。
大きな容器に鯉を一尾ずつ入れてゆっくり観察し、イカリ虫が付いていればこれを除去し、傷口にマーキュロクロームかピクオタニンブルー、あるいはメチレンブルーを筆で塗るか噴霧します。
大きい鯉などで腹部をゆっくり観察したいときは、ビニール袋に入れて下から見るようにするとよく観察できます。しかし、慣れてきますと鯉の腹を手でなでるだけで傷やイカリ虫がわかります。
頻繁に鯉を取り上げるのはよくありませんが、年に1度、この時期にはしっかりと愛鯉の体表を点検し、処置をして池に戻してやるのが良いと思います。