【第一回】東海漬物「こくうま」のマーケティングトレース
こんにちは。イズケンと言います。
東京都内の自動車部品の輸入会社で営業企画・広報等をしています。
自身のスキルアップのために2021年より中小企業診断士の受験をしており、
2022年に一次試験に合格しました。
が、二次試験のモチベーションがほぼ皆無で困っているところです(笑)
さて、9月17日に黒澤友貴さんの「マーケティング思考力トレーニング」を読了しTwitterに投稿したところ黒澤さんご本人からワークシートを頂いてしまったので、これは投稿せねば罰が当たると思い、今回投稿してみることにしました!
今後もちょくちょく更新していきたいと思いますので良かったら読んで頂けると嬉しいです!
では、早速行ってみましょう。
■対象企業・商品と選んだ理由
第一回目に選んだのは東海漬物株式会社さんの「こくうま」です!
今回のテーマに選んだのは深い理由は全く無く、夕飯食べながら「マーケティングトレースのネタどうするかな~。」と思った時、ちょうど目の前にあったからだけです(笑)
新しい事始める時ってノリと勢いが大事だと思ってます!
■会社基本情報
どうやら日本の漬物市場は3,100億円と推定されているそうです。(業界シェア一位のピックルスコーポレーション調べ)
ちなみに、東海漬物株式会社は「非」上場企業であることを今回の調査で知りました。
東海漬物はピックルスコーポレーションに次ぐ業界2位で7.5%程度のシェアです。(1位のピックルスは14.8%程度)
ただし商品別で見ますと、今回調査する「こくうま」の存在感は大きい!
KSPのPOSデータで、2021年10月~2022年3月の「漬物カテゴリー」の売上を見ますと下記の様な結果見えてきます。
しかし、日本人ってキムチ好きなんですね!!
では、次からはフレームワークを使用しての分析をしていきたいと思います。
■3C分析
顧客(Customer)
この点はちょっと迷ったので、パッケージやホームページにヒントを求めることにしました。
まず、パッケージに記載がある様に、こくうまは「ごはんに合う」という特徴を前面に打ち出しています。また良く見ると「熟うま辛」と言う表記もあります。
「辛さ」もメッセージに入れているところから子供をターゲットにしているとは考えられないので、広く「辛さ」に耐性を持つ大人をターゲットにし、その中でも「ごはんのおかず」としてキムチを食べたい消費者が中心となるかと考えました。
僕自身も大ファンなのでわかりますが、「こくうま」はごはんと一緒に食べたときに本当に美味しい!
「イカゴロ」と呼ばれるイカの墨とワタを発酵させた調味料や「アミエビの塩辛」「かつお魚醤」を入れた本格的なキムチでありながら、微生物の増殖を抑えているため酸味が出にくく、日本人の味覚にバッチリあった商品になっていると思います。
ただ、一点気になるのは「白米」との相性を前面に押し出しているところ。
少子高齢化、食の多様化に伴いコメの国内消費量がどんどん下がって来ていることは皆さまご存知の通り。
今後も高いシェアを保つためには新しいファンの獲得が欠かせませんが、今回調査した限りでは特に目立った取り組みは見つけられませんでした。(私の調査力不足のせいかもしれませんが・・・)
会社(Company)
東海漬物株式会社は創業は1941年で、ロングセラー商品「きゅーりのキューちゃん」などを排出した日本の代表的な漬物メーカー。
ホームページを読み込んでいくと、R&D部門や品質管理部門が非常に充実していることが伺えます。
例えば、漬物の技術開発及び健康機能性研究を行う「漬物機能研究所」を自社で持っており、研究学会発表や論文発表もコンスタントに行っている様です。
また、「品質保証部」が推進する「TQMS 東海漬物品質マネジメントシステム」や、「食品安全委員会」等で徹底的な品質管理を行っているとのこと。
競合他社のホームページを見ても、ここまで強力に打ち出している所はなく、おそらくこちらの点で東海漬物株式会社は業界の中でも群を抜いた存在であることが伝わってきます。
競合他社(Competitor)
すぐに思いつくのが業界トップの「ピックルスコーポレーション」の「ご飯がススム」。
ご飯に合うと言う属性が完全に被っておりますが、「甘さ」も前面に出し、「こどもから大人まで家族で食べられるキムチ」を目指しターゲットを広げ
た点がマーケティングとしては大変に秀逸だと思います。
※「ご飯がススム」の開発秘話、大変おススメです。
「ご飯がススム」シリーズは、「辛口」やサイズバリエーションも豊富にしての「ライン拡張」や、カクテキや松前漬け等にも展開する「ブランド拡張」、カップラーメンやスナック菓子等他社とのコラボレーション商品を積極的に行う等、マーケティングの様々な手法を生かしている部分も目立ちます。
「ご飯がススム」の快進撃と比較すると「こくうま」の最近のマーケティング戦略は、そこまで目を見張る部分は無いのかな、と言うのが正直な感想です。
「こくうま」ブランドではTwitter, Instagram等SNSの活用もされていない様です。(「きゅーりのキューちゃん」はあり)
商品開発、品質管理については業界で群を抜いた実力を持ちながらも、
マーケティングについてはまだまだ伸びしろがある会社さんなのかな、という印象を持ちました。
■PEST分析
つづけてPEST分析です。初回にも関わらず長くなりすぎてしまったので、こちらの分析はサラっと行きたいと思います。
政治(Politics)
漬物業界で見ると、
2021年6月から食品取り扱い全事業者にHACCP(衛生管理法)が完全義務化
→品質管理に力を入れていることが、更に高く評価される様になる?
ご飯のおかずという点で見ると
農林水産省が米食推奨のため政府備蓄米の交付による米飯学校給食の推進
→ご飯を食べる若者の数が保たれれば「こくうま」のファンになる可能性のある消費者の母数の減少も抑えられるか?
経済(Economy)
コロナ禍・ロシアのウクライナ侵攻などに起因する原油高・輸入コスト増によりほとんどの食品が値上げ
→「こくうま」の材料は国産を売りにしているが、肥料・電気代高騰によるコスト増は避けられないのでは?実際に値上げも実施されている。
社会(Society)
健康志向が増え、減塩や乳酸菌への関心が高まっている。
→「こくうま」は、他社で「乳酸菌」の多さを謳っている商品と比べて、かなり「乳酸菌」の数は少ないと見込まれる。健康志向のユーザーへの訴求は弱いかもしれない。
技術(Technology)
これはちょっと挙げるべきポイントがわかりませんでした!
■最後に
初回は軽めにと思いましたが、結構長く書いてしまいました(笑)
最後は簡単にまとめます。
個人の食の嗜好としてドンピシャな「こくうま」ではありますが、「マーケティング」という観点で言えば、正直これと言って特筆すべき活動が見受けられなかった様な印象を受けました。すでに漬物業界において圧倒的な立ち位置を確立出来ているからでしょうか・・・?
とは言え、業界一位の立ち位置を獲得することは並大抵のことではないはず。商品力以外にも、私の調査力や洞察力・想像力などが及んでいない部分で優れていた点があったに違いません。ただ、そのヒントとなる取材記事などの情報があまりなかったのは少し残念でしたね。
一方、高い技術力を持つ「美味しい商品」を作れるR&D部門や、徹底的な品質管理が可能にする会社体制作りが出来ている点はさすがの老舗企業、と感心させられました。
勝手な印象ではありますが、「真面目なモノづくり」は得意、ちょっと小ズルい「マーケティング」は不得手、という歴史のある日本企業でよくみられる会社さんなのかなと感じました。「きゅうりのキューちゃん」の方ではSNSマーケティングなど現代的なアプローチも積極的に行っている様なので、今後「こくうま」にもリソースを割いていくのかも知れません。
と言うか、調べて行くうちに業界首位の「ピックルスコーポレーション」の方に興味深々になって来ました(笑)
次回は「ピックルスコーポレーション」について書いてみたいと思います。
思ったより長文になりました。最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございました!
とても楽しかったのでまたやりたいと思います!
それでは!