6月1日 おおた区民大学講座参加
おおた区民大学は、その名の通り大田区が実施している市民用講座。東工大と連携して今年の春期は脱炭素•エネルギー新技術の今というテーマで講義を展開している。
1回目は、伊原学教授による「次世代の太陽電池、燃料電池、そしてスマートエネルギーシステム」。これが最高に面白かった!
「グリーンジャイアント」(文春新書)で読んではいたが、かつてソーラーパネル生産で世界をリードしていたはずの日本が、現状では太陽光発電については米国、欧州、中国に大きく引き離されてしまってる、という現状を改めて再認識。寂しい限り。
また、昨今言われているweb3.0同様、エネルギーについても、進むべく方向は中央集権型から分散型であることがわかり自分の中で腑に落ちた。(電力、熱ともに遠隔に移動すると効率が悪いため)
発電と供給にについては「電圧を水位、電流を水流と考えるとイメージしやすい」とのこと。
川上の発電と川下の消費のバランスが崩れてしまうと電圧=水位が変化してしまい、ブラックアウトの危険性がでできてしまう。
刻々と変動する、発電、送電、消費、をどう安定させるか、ここの「統合コスト」がカギとなることも学んだ。
統合コストを下げるためには、従来発電の方に寄っている「蓄電」を消費の近くに持っていき、発熱の有効利用という意味でも、エネルギーの地産地消の形であるマイクログリッドが有効となる。
そしてその蓄電について、特に大量に貯めるのに適しているのが「水素」であることも知った。
ただしここもシンプルでなく、水素は一次資源でなく二次資源、つまり自然界にはない資源なのでなんらかの方法で作る必要がある。使う時には二酸化炭素を発生しなく、色々なデバイスで使いやすい水素ではあるが、作るのには天然ガスや石炭を使用することが一般的なため、その際の温暖化ガス排出が問題となる。(そこも再エネでできれば、完全にカーボンフリーな「グリーン水素」となる)
天然ガスや石炭を使って作成する際も、発生する二酸化炭素を地中深くに貯留・圧入する「CCS」という技術で大気中への二酸化炭素排出は抑えられるが、ここも一筋縄ではいかない!
地盤の問題で日本で実施できる土地は限定される、ということと、アメリカの学会の研究で軽微な地震の誘発する可能性が指摘されているため実現のハードルは低くない様だ。
今後、太陽光エネルギーを広げていくためには「エネルギー学と情報科学の統合が必要」。
需要と供給のバランスを取っていくためには、理に適ったアプローチと思う。かつては、「富岳」などで知られるスーパーコンピュータでの計算が必要だったが、コンピュータの小型化、クラウド活用による情報共有が容易になり、さらにはライブラリが豊富なPythonなどのプログラミングツールも進化し、この流れを助けている。
ここまでが前半の1時間。
新聞やニュースを見聞きしていれば、馴染みの用語や概念ばかりだが、研究の最先端にいらっしゃる先生からお聞きできると、理解もさらに深まり大変良い機会となった。
後半は、太陽光パネルの効率がについての技術的な話が多くなり正直ついていけなくなった(笑)
最後には質疑応答があり、使われなくなったメガソーラーの処分についてのコストについての見解についての質問など、なかなか鋭い視点が出てきて刺激的だった。ちなみに、パネルのリサイクルの研究は始まったばかりであり、そこも総合的に捉えたコスト構造はまだ見えていないのが現状の様だった。
講義に出たら❶必ず質問する❷小さくても必ず次の日から週間に取り入れられるものをお土産にする、と決めている私は、太陽光、再生エネルギーの普及を広げるために、伊藤先生の様な研究者の方々が我々一般市民に望むことは何か、を聞いてみた。
頂いた回答は、まず今回のテーマについて関心を持ち知ってもらいたい、とこれはまあ予想通りの回答。
だが次が感動!
太陽光エネルギーについて知って、その上でそれを
進んで需要して欲しい。
とのこと。つまりわれわれが消費を希望すれば当然太陽光エネルギーが普及する原動力となるのだ。書いてみたら当たり前のことだが、この答えを聞いた時なぜか僕はモーレツに感動したのだ。
ところで、私はエシカル消費にも大変興味があるが、情報の少なさ、価格の高さなどなど多数の障害があり、なかなか順調に進んでいるとは言い現状かと考えている。
消費者側としては、現状を打破するために、
❶消費者が商品の環境負荷について知る様にする
❷知識をもとに、進んで負荷の低い商品を選ぶ
という選択を取ることができる。
また、売り手側は
❶消費者にわかりやすい形で情報を伝える
❷価格を安くする、ポイントをつけるなど、ユーザーが買いたくなる様にする。
という努力が必要と考える。
と、色々と考えさせて頂ける大変良い機会となった。参加して本当に良かった!!
ちなみに、参加者のほとんどは年配の方。若者、中年の方、こんな良い機会逃すのもったいないですよ!
長くなりましたが、今回はこれで終了。
最後まで読んでくれたあなた、すごい忍耐力ですね。本当にありがとうございます!
今後もマクロ・ミクロ的観点から世の中を勉強し、世の中を良くしていける様頑張っていきます!よかったら応援お願いします!