壊して積み上げる
解体工事が始まった。
僕の物件は古民家で以前飲食店だったわけでもないのでメインとなる厨房部分だけはしっかりと作るために解体しないといけない部分がある。
とはいえ他の部分はとても保存状態がいいので解体する部分も1/4程度。
壁があった部分も大工さんがあっという間に解体していく。
「あぁいよいよ始まるなぁ」と思いながらも僕自身はまったく忙しくないので開業準備って実際いつから忙しくなんの?という感じである。
そんな感じでたいして忙しいわけではない日々の中岡山後楽園で行われたイベントに参加させてもらった。
岡山のレストラン「レオーニ」のシェフ小野さんと神戸のメゾン・ド・タカ芦屋所属で去年のRED U-35グランプリの糸井くんと僕で岡山の食材と備前焼の作家さんの器を使わせていただきコース料理を提供するというもの。
こういうイベントは普段とは違った環境で料理を作らないといけない。
プロ仕様の厨房機器や熱源などもほとんどないし重要文化財の建物での調理なのである程度の制約もある。
そんな中やっぱりいいものに作り上げていくのは「人」の力である。
料理人、備前焼作家さん、ワイン&サービスをしてくれるスロウカーヴの渡邉さん、運営してくださるスタッフさん各々にストレスも抱えながらコミュケーションを取り1つのイベントが出来上がっていく。
広島からもサポートのお願いをしたら快く岡山まで駆けつけてくれた。
一人の力なんて小さなもので本当に人の力が繋がることで生まれるものはあるなと実感する。
こういう経験は一人でしちゃうよりもシェアしちゃったほうがいいし
いいところも悪いところも必ずあるからそれを自分の目で見て感じて取り捨て選択してくれたらいい。
普段とは違う環境で料理すること、不都合があることから生まれる発見、新しい人との出会い、新たな場所に足を踏み入れると基本的には成長しかないしあれこれ考えるよりもやっぱり行動力が大切でフットワークの軽さは成長に比例する。
積み上げたものは壊す
そして今回の僕個人にも気付きがあった。
料理はスムーズに提供できたし与えられた環境内で一番いい状態で料理を出せるように最善を尽くした。
お客様も満足してくださっていたからちゃんと準備していた想定通りにことは運んだと思う。
ただイベント2日後くらいか、何やらもやもやが消えない。
見えてきたのは「勝ちパターンを使った」こと。
過去9年間のうちまともな厨房で働いたのはフランス2年と去年まで1年間お世話になった結婚式場の1年のみ。
いろんなアウェーな環境で料理をしてきたからこそ積み上げていた勝ちパターンが少しだけれどある。
居心地の良さからは感動は生まれない。わかりきっているものには心が震えない。
きっと積み上げてきたものは壊さないと先へは進めない。
居心地のいいところから軸足を抜かなければいけない。
憂鬱になるほど自分に不都合な環境に足を踏み入れないと上には上がれない。
ハラハラして心がギュッと締め付けられるような道を選択していきたい。
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