ring a bell
さよならをちゃんと言いたいのは
ごめんなさいをちゃんと言いたいのは
ぼくも同じなのです
だから
あなたへ
この手紙を綴ります
あなたが時折見せた
無邪気さの影
ぼくはかってに
その裏に
痛みを住み着けてしまいました
思えばそれは
ぼくが
ぼくであることの
苦しみを
ぼくの昏い一部分を
なすりつけてしまったことに
等しいかもしれません
ごめんなさい
ぼくの心の重力が
あの日々のあなたを
苦しませたでしょう
愛していたのに
ほんとうにごめんなさい
ぼくがあなたの
枷になることなど
ほんとうに
あってはならなかった
だから
あなたの苦しみは
ぼくがぜんぶ引き受けて
ぼくの苦しみといっしょに
あたたかい場所へ
つれていきます
そのことをくれぐれも
気に病まないでください
あなたのしあわせのためには
ぼくの苦しみを断ちきるには
そうするほかに
なかったんです
なにより
あなたの苦しみを
引き受けられたことは
ぼくにとって
しあわせなことだったんです
もう
あなたは
苦しまなくていいんです
そして
あなたには
ずっとあなたでいてほしい
ずっと ずっと
あなたもなかなか
自分のことを愛せないかもしれません
でも あなたは
ぼくが愛したあなたなんです
そして
あの人に愛されているあなたなんです
期せずして
ぼくと似てしまった
あなたの気高さ
それが呪いではなく
だれかを勇気づけて
あしたへ向かわせるのなら
ぼくは幸いです
ほんとうに
愛してよかったと
思えるんです
ぼくとあなたは
かつて
ひとり同士でした
でも
そこからあなたは
あの人といっしょに
一歩踏み出せていて
みんなの笑顔とともにある
それがぼくには
うれしいんです
どうか忘れずに
いてください
あの人と
そして
だれかから
みんなから
いっぱいぬくもりを受け取って
歩んでいくことで生まれる
ひそやかで
とても大きな
その力を
どうか
どうか
その心を
ときはなってください
あなたであるために
大切な人が
大切なままいるために
そして
みんながみんなで
いつづけるために
ぼくと同じあやうさを持つあなた
そのくるおしい孤独は忘れて
前に進んでください
だってあなたには
あの人が
みんながいる
あの人と みんなと
出逢えたあなたは
きっと
ぼくを超えてゆける
ぼくの至ることのできなかった
その先へ
きっと
ゆけるから
どうか
この身勝手な願いが
見知らぬ明日へ
とどきますように
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