M&A・不動産取引における環境デュー・ディリジェンスの重要性
【Q】
土地建物を取得しようとする場合や、M&Aによって土地建物を保有する企業を買収しようとする場合に、当該不動産に環境汚染や廃棄物が存在するかどうかの事前調査(デュー・ディリジェンス)を実施する必要はあるのでしょうか。
また、デュー・ディリジェンスを行ううえでの注意点はありますか。
【A】
発見された汚染・廃棄物の除去費用が10億円を超えるような事例も多数みられるほか、取得した不動産から汚染が流出・拡散するリスクもあります。
その一方で、取引の相手方に対する法的手続には時間とコストを要するうえ、請求額のすべてが回収できるとは限りません。
そのため、取引前のデュー・ディリジェンスを適切に実施することが重要です。
もっとも、環境汚染の性質やその調査方法は専門的・技術的な事項が多く、規制内容や法的評価の問題点も多岐にわたります。
また、行政への対応において留意しなければならない点もあるため、専門家に相談しながら進めていく必要があります。
【目 次】
デュー・ディリジェンスの種類・特徴
環境デュー・ディリジェンス(環境DD)がなぜ必要なのか
汚染・障害物の対策費用の高額化
法的手続きの限界
環境デューディリジェンスの概要
土壌汚染調査(デュー・ディリジェンス)の概要
建物環境調査(デュー・ディリジェンス)の概要
環境汚染調査の実務上の問題点
調査済み・対策済みの箇所から汚染・廃棄物が発見される例が多く見られる
対策範囲の確定が必ずしも容易ではない
汚染原因の判断は必ずしも容易ではない
汚染調査には相当な時間と費用がかかる
受領した開示資料を全面的に信用できない
環境・廃棄物分野においては規制内容が日々改訂され、行政機関ごとに見解が異なることがある
環境汚染・廃棄物の性質・調査対策の内容は技術的・専門的内容に及ぶ
弁護士 猿倉 健司 Kenji Sarukura
牛島総合法律事務所 Ushijima & Partners
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