オンライン授業でジグソー法ポスターツアーを実施する
1. はじめに
このnoteでは,オンライン授業でジグソー法ポスターツアーを実施する方法について書いています.ジグソー法では,大きい学習課題をいくつかの小課題に分割し,それぞれの小課題に対して別々のグループが取り組んだあと,各グループの成果物を全体で共有します.そのことにより,学習課題全体に対してクラス全員で詳細な知識を共有することができます.
この授業では,それぞれの小課題について,グループメンバーの共同作業で1枚のポスターを作成します.ポスターが完成したあと,作成グループメンバーが1名ずつ入るように発表グループを編成します.発表グループでポスターを順番に巡りながら,ポスターを作成した学生が口頭で説明し,発表グループ内で質疑応答します.この方法をジグソー法ポスターツアーとよびます.下の図はジグソー法ポスターツアーでグループをどのように組むかを説明する模式図です.
ジグソー法ポスターツアーの利点は,(1) 全員に口頭発表の義務があるので,フリーライダー(グループワークに貢献しないメンバー)が発生しない,(2) 小グループでのプレゼンテーションなので,口頭発表や質疑応答に不慣れな学生でも取り組みやすい,の2点があげられます.
オンライン授業でグループワークによりポスターを作成するためには,オンラインホワイトボードmiroを使います.miroを使ったオンライン授業でのグループワークの実施方法についてはこちらの記事をごらんください.
2. 実施方法
オンライン授業でのポスターツアーにはzoomを使います.それぞれの発表グループで同時に平行してプレゼンテーションがおこなわれるので,それぞれの発表グループをzoomのブレイクアウトルームに振り分ける必要があります.発表グループをブレイクアウトルームに振り分ける方法としては,(1) zoomのミーティングホストが発表グループへの割り振りを事前に済ませておく,(2) zoomのミーティング開始後に手動で振り分ける,のどちらかです.前者の場合は,学生のzoomログインメールアドレスを知っておく必要があります.後者の場合は手作業なので操作が煩雑になりますが,学生各自にzoomミーティングへの参加名の前に発表グループ番号を付けておいてもらうことで多少はスムーズに振り分けることができます.
口頭発表はzoomの画面共有を使っておこないます.zoomホスト(教員)がブレイクアウトセッションを開始したら,ホストは各ルームの様子を一度に確認することができないので,議事進行はそれぞれの発表グループの自主性にまかせることになります.そのため,各グループの議事を円滑に進行させる役目としてサポート係の配置が必要です.サポート係の業務は,時間管理,技術的なアドバイス,質問の仕切り,です.サポート係はTAでもいいですし,発表グループ内で分担してもいいでしょう.
3. 成績評価方法
ジグソー法ポスターツアーでは口頭発表セッションが平行して同時におこなわれるため,教員による評価は困難です.そのため,成績評価は学生同士による相互評価を集計しておこなうことになります.相互評価を導入することにより,他人の発表を真剣に聴くことになります.さらに,自分自身の発表のレベルを向上することにもつながります.相互評価の項目は,ポスターの内容(5段階),発表者の態度(5段階),コメント(よかった点と要改善点)でいいでしょう.相互評価の記入は,口頭発表セッション中はメモ書きしておいて,授業終了後にGoogle Formsに入力してもらうと,集計が楽です.集計結果をLMSなどで発表すると学生のモチベーションの向上につながります.