森林リモートセンシングの試験
過日紹介した森林リモートセンシングのテストが先日行われた。普通の筆記試験ではなく、ソフトウエアを使った問題解決+面接というユニークな形式だったので、その体験談をお伝えします。
受講生1人あたり25分が割り当てられ、丸一日かけて試験が開催される。僕は昼過ぎの順番だった。まずはPCのある部屋へ案内される。そこで、8枚ほどのA4の問題用紙が内容が分からないように裏向きに用意されていて、監督官から好きなの選んでください、と言われた。ちょうどトランプをしていて一枚選ぶ感じ。自分でどれが、というのは選べず、ランダム。結果的には、モンテヴェルディというフリーのGISソフトを使ったNDVIの算出と、ちょっと応用編で植生の分布を別の方法で示す、というもの。これは5分ぐらいで無事にできた。他の同僚に後日聞いてみると、他の問題もラボの授業で行った解析のレベルよりかなり簡単だったらしい。まあ、ラボの授業は2時間かかるからこれは当然。
後半は理論編。これは面接官2名に受講生1名という組み合わせでの面接。最初に握手からはじまり、授業で習った10あまりの主要なテーマ(上記の過去記事に載ってます)から3つを選んで質問する形式。最初の1つは選んでもいい、ということだったんで、直前まで復習していたClassificationをテーマに選んだんだけど、これが難解で大苦戦。なにしろ質問の意図がわからない。これは質問者も悪いと思うんだけど、こっちも焦ってしまって本当にきつかった。幸い質問者が忍耐強い若手ポスドクの先生で、あれこれ質問の言い方を変えて答えを導こうとしてくれたので、なんとか乗り切れた感じ。
それと英語の能力、特にスピーキングの力不足を実感。スムーズに言葉がでてこない。スピーキングはもともと一番苦手で(TOEFLiBTで最高で18点・・・30点満点)、留学してからうまくなったと思っていたけど、まだまだ。一つ目で10分以上かかってしまったので、残りの2つのテーマは駆け足で、それでもそれぞれ7分ぐらいはかかったと思う。GeodatumやGeoid、そしてReference dataの評価について。次の受講者をだいぶ待たせることになってしまった。面接官のうちの1名はひたすら評価。普段は丁寧に説明してくれる先生が一言もしゃべらずに厳しい顔で評価していたんでそれもプレッシャーになった。
結果は合格。スコア2点台だったから(ドイツは1.0が最高、5.0が不合格で0.1刻みの評価になっている)まずまずと思っていたら、SUFONAMAの同級生たちはもっと結果が良かったみたい。さらに頑張らねば、という気持ちにさせられた。
さて、この試験方法。受講生の能力を総合的に見る、という意味ではとても良いと思う。リモートセンシングの分野は結局のところデータ分析を自らできないと意味がないわけで、そういう部分は前半でカバー。そしてもちろん理論を知っていないと、結果に対する評価ができない。言い換えると、もし変な結果が出たとしてもそれに気づかなかったり、変な結果が出た理由を探し出すことができない。そういった理論的な部分は後半の面接で厳しくチェックできる。受講生の側からしたら、付け焼刃が効かないので準備がとても大変になるが。
反面、デメリットもある。一つは教官が複数いないと対応できないということ。この講義は都合4名の教官がついているので、こういう形式が可能になっている(博士課程の学生も含め)。もう一つ問題になるのは、問題の選び方によって難易度に差がでることだろう。僕が選んだ問題がどうであったかはわからないけれども、すべての準備された問題が同じ難易度であるとは思えない。
リモートセンシング。夏学期も上級編の授業が必修であるから、引き続きせっせとがんばらなくてはならない。僕の専門とは異なるけれども、この技術は森林科学研究には今後不可欠なものになるだろうから。
オリジナル記事公開日:2012年2月28日