家畜のエサも森から来た:Hutewaldの森で
来週から授業開始となるが、オリエンテーションの一環として、ハン・ミュンデンの街の近くの"Hutewald"と呼ばれている森へ、コースの学生たちと先生方とで行った。ゲッティンゲンからバスで1時間弱、よく管理されている森。ハイキングのつもりで来たんだけど、やっぱり先生たちが一緒ということで授業になる。バスを降りた場所から道をはさんでそれぞれ両側の森は様子がまるで異なるが、これはなぜこうなっているのか、という課題を与えられ、それぞれが森を歩きながら考えるという趣向。
答えは「片方は経済林、もう一方は中世からの伝統的な管理方法で家畜のエサ用の森」というもの。後者はいまではその用途に使われることは少なくなったそうなのだが、牛(例えばスコティッシュ・ロングホーンと言ってた)や豚や羊やガチョウがどんぐりや下草を食べにくる用途の区画なんだそうだ。その区画には樹齢200年を超えるヨーロッパオークの木が20mぐらいの間隔でポツリポツリと立っていて、まわりのヨーロッパブナがうっそうと茂る経済林とはまったく異なるたたずまいで面白かった。
後、この森に来て驚いたのは、大型機械を楽に移動させるために道路がきちんと整備されていること。森での観察中も2回、大型の運搬車がハーベスター(ショベルカーに手が二本ついているような機械。片手で木を抑えて、もう一本の手でそれを切るという芸当ができるそうだ)が通過していった。説明によると、皆伐せずに択伐(Single cuttingと言っていた)を続けていくにはこういった道路網の整備が不可欠とのことだったが、当然、切り出して顧客に届けるまでのコスト削減にも役立っているだろう。
と、ここまでが先週金曜日の出来事。面白かったのは翌日、同行した仲間4人と昼にコーヒー飲みながら議論した内容。ゲッティンゲン大学で開講されている森林管理関連の英語の修士コースは僕のいるSUFONAMAともう1つ熱帯雨林の専攻のコースがある。4人とも後者の所属で出身もジンバブエ・ガーナ・コロンビア・ネパールとここよりもずっと温かい国の出身で、ドイツの森での講義はもう凍えて話なんかできなかったとかで、その時になにを思っていたかということを延々と話になった。みんな社会人経験者なのでモチベーションが高いのです。
彼らがとにかく驚いたのが、ドイツの森が経済林として主に利用されているという事実。日本でずっと生活してきた僕にとってはなんでもないことなんだけれども、彼らの国では森林は第一義的には保護すべきもので、経済的なことは二の次なんだそう。「ドイツの森はまるでプランテーションだな」という発言がそういう考えを代表していると思う。プランテーションっていう言葉にはあまりポジティブな印象はないです。
しかし、本当に寒いオリエンテーションでした。当日は最低気温が市内でマイナス1度、最高気温が10度。おそらく森の中は日中でも氷点下前後だったと思う。ある先生いわく「今はまだGreen winterだからいいよ。これがwhite winterになったらたまらんぜ」とのこと。寒さだけは本当に嫌だなあ、と思う今日この頃。
オリジナル版公開日:2011年11月17日