間伐は投資である
現在履修している授業は Planning in sustainable forest management と題されている。11月中旬からクリスマス休暇をはさんで正味10週間にわたるコースなのだけれど、今週はその最終週。
昨日はこの授業の大きな山の一つであるTactical planの内容の報告会。10年間の計画なので、中期計画とでもいうのだろうか。12月に滞在したÖstad Säteri財団が所有する森林の一部(約200ヘクタール)の実際のデータを使って、向こう10年間の森林経営計画を立案しなさい、というのが課題。どの林分を主伐・間伐するか、主伐後の植林方法はどのようにするか(費用を含めて)などなど、昔仕事で企画書を書いていたころを思い出しながら、チームメートと立案した内容を報告した。
担当教官からはいくつかコメントをもらったのだけど(林業計画は目的に応じて複数の正解があるので、正誤の評価ではなく、計画立案過程についてのコメントだった)、一番印象的だったのが、「Tactical planで一番重要なのは間伐なのだけど、それはなぜだと思う?」という質問。僕は「作業量を考えると間伐が一番負荷が大きいからではないですか?」と答えたのだけど、彼の考えは「間伐を適切に行うことで森林の経済価値を高めることができる。だから間伐は投資"Thinning is investment."であり、将来を考えるともっとも重要であると言える」というもの。
間伐材を販売することで収入も見込めるのだけど、それよりも将来価値を高めるということを考えなくてはならない、というのは、言われてみれば確かにそう。そして、一つ一つの業務の意味を一言で表すことの大切さも改めて実感した。そして僕の回答が少々的外れで、まだまだ修行が必要だな、ということも。。。
オリジナル記事公開日:2013年1月17日
追記(2024年5月31日):
「切り捨て間伐」という言葉はあまり好きではないのだけど、その感覚の根っこにあるのは、今回の記事のタイトルの通り「間伐は投資である」と教わったことにある。森林経営は長期投資。そういう視点で昨今の森林に関する報道を見直してみる必要があると思う。配当として、キノコや薪の採取、狩猟する権利(の販売)、炭素固定(排出権取引制度での販売)などをイメージしてみるとわかりやすいかも。