林冠を歩く
大学から徒歩5分の森の中に、林冠研究用に設置されたスカイウオークがある。今日は特別にそこを歩き、林冠において反射率のデータを取得する機材について説明を受けた。林冠の研究は1980年代後半から盛んになった分野。今回はリモートセンシングの講義の一環として現地へ行ったのだが、林冠研究といえば林冠における生態系の研究が有名。
ゲッティンゲンのスカイウオークは目測だが高さ25mぐらいのところに設置されている。スカイウオークが設置してある地域一帯はフェンスで囲まれ、事前に許可を得ないと敷地内に入ることができない。建築現場の足場に使われる部材で組まれた塔が8つほど。それをつなげる形で歩道が設置されていた。普段、下から眺めることしかない樹を上から眺めるというのは不思議な感じ。
高いところは苦手なのだが、このスカイウオークはさほど怖さを感じなかった。その理由は、下が林冠になっているので地面がほとんど見えないこと。木の上をすたすた歩けそうな、そんな感じ。ただ、ギャップから地面が見えたときは、怖かった。
ゲッティンゲン大学の森林学部は、正式には森林・森林生態学部という。スカイウオークが設置されたのも、生態学関係の研究者の層が厚いことがその理由の一つだろう。その他、気象学や野生動物保護といった特徴のある研究室もある。
すでに何度か書いているけれども、こういう分野に関心のある学部生には、ゲッティンゲン大学の大学院はとてもお勧め。DAADをはじめとする奨学金を得るチャンスも他の国に比べると大きいし、やっぱり学費がほとんどタダ、というのが素晴らしい。森林学部では次の学期から英語で開講される修士コースが一つ増えるというのもポイントだと思う。僕にとってちょっと残念なのは、社会科学系がちょっと弱いこと。これまでのキャリアを生かすという意味で、僕は経済・経営の分野に軸足を置き続けるつもりだけど、もし、学部を出てすぐに来ていたら、きっと生態学かリモートセンシングを主専攻にしていたと思う。授業も面白いし。まあ、こういう分野の知識もミックスした研究は是非してみたいと思ってはいるんですが。
さて、今週末から一週間、以前記事に書いたスイスでのサマースクールに参加してきます。今後の研究の方向性を見極める、そして業界内での人脈を広げるという意味で、とても重要だと考えています。また、7月に入ったら10日間はウェールズのバンゴール大学へ。ここでは森林学というよりは自然保護についての集中講義を受けます(これは必須になっている)。そして秋にはスウェーデン。あわただしくなってきたけど、いろいろな森林を見ることができるいい機会だと、前向きにとらえています。
オリジナル記事公開日:2012年6月15日