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特用林産物の授業

昨日はNon timber forest products(NTFPs:特用林産物)の授業で、試験の一環であるプレゼンに挑戦した。評価はプレゼンと10ページ以内の小論文とする、ということになっていたので。一人15分の持ち時間で10分を報告、残りの5分を質疑応答、というスケジュール。

なにしろ30人近くが報告することになったので、11時15分スタートで終了が18時15分と長丁場。冒頭で教授に「君らのフェローが報告するわけだから、礼儀として最後まで聞いて質問をすることは当然だよね。最後まで居ることを強制はしないけど」とやんわり釘を刺されたせいもあって、ほとんどの同級生はちゃんと最後まで残っていた。普段の様子を想像してみてほしい。留学生もいろいろ。

屋根が木の皮(Bark)。かつて、人の暮らしと森林とのかかわりはずっと深かった。
森林がなければ生きていけなかったと言っていいだろう。

ところで「特用林産物」というと、日本だときのこ類が浮かぶぐらいだと思うが、世界に目を広げると実に多くある。特用林産物というのは、木材以外で森林から得られる生産物のこと。日本国内で今もよく目にするものとしては、きのこ類以外では、竹、タケノコ、炭、薪、はちみつ、ぐらいだと思うけど、海外では本当に多種多様なそれが収穫され、販売されている。昨日の報告内容としては、トリュフ、チェスナッツ、ラタンといったイメージできるものから、バタフライファーミング(文字通りチョウチョを育てて販売する)や芋虫やらアラビアゴムやらアブラヤシやら各種ハーブ類やら、多種多様な特用林産物の報告があって、長丁場だったけれど、とても面白かった。日本にいたら、こんなバラエティのあるプレゼンを聞くことはできないだろう。世の中広い、と改めて実感。僕はまだ、ほとんど何も知らない。

木材は収入になるまで長い年月がかかるけれども、これら特用林産物は毎年確実に収穫者に収入をもたらしてくれるというのが大きなメリット。途上国の農民たちにとって、大きな収入源になっていることが多い。インドのある農村地帯だと半分以上の現金収入がそこから得られているそうだ。こうなると、農村開発の観点からも無視できない側面となる。さらに、特用林産物を収穫する権利とそれが生えている森林の所有権とが必ずしも一致していないことがあったりするのも面白い点だったりする。

▼マツタケの本でお勧めの一冊

僕はマツタケを選択。予備知識がなかったのでいろいろと先行研究を調べたり統計を当たったりしてそれなりのものは報告できたと思う。なぜマツタケの国内生産が1960年代から急激に減ったのか、という点を、国内の燃料革命と結び付けて説明してみた。それだけだとすでに先行研究で指摘されていることなので、実際に統計データから単回帰分析をして、仮説の有効性を確かめる、ということを加えてみたんだけど、意外とこういう簡単なことをきちんとフォローしている研究がないみたい(筆者注記2024年:そのころはそう思ってた)。さらに、いくつか面白そうなインプリケーションを加えてみた。まずまずの評価をもらってほっと一息。初めての英語のプレゼンだったし。

あと面白かったのは、報告内容の質のばらつき。かなりきちんと調べて報告しているのもあれば、これは完全にウィキペディアだろう、という気の抜けた報告も。そういう内容でも、それっぽく報告しようとする態度は大したものだったが、内容の薄さはバレバレ。あれだけ事前に「ウィキペディアからの丸写しや引用元の記述のないものは認めない。去年、そういう盗用があったので今年は特にその点は注意して審査する」と言ってたのにね。インターネットでお気軽に、という研究するぐらいなら、わざわざ進学しなければいいのに、と個人的には思うのだけど。


オリジナル記事公開日:2011年12月17日

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