エコーチェンバー現象 【共感の墜とし穴】
噂。
共感。
承認欲求。
どれも人間の大好物。
けれども
これらが偏った思考をつくり
誰かを傷つけることがあると解っている。
今日はこのような共感の連鎖が産んだ
エコーチェンバー現象について話をしたい。
エコーチェンバー現象とは
同じ価値観や思想をもった人達だけで過ごすことにより
たとえ誤った知識でも正しいと思いこんでいき
偏った思想が増幅していく現象のことである。
エコーチェンバーを日本語訳すると反響室になる。
(音楽録音などで使われる)反響室で言葉を発すると
同じ言葉が重なるように響く様からきた比喩表現であり
この現象のカッコイイ所は名称だけだ。
つまらない程に人間味溢れる現象である。
簡単にエコーする匿名の世界
エコーチェンバー現象は
偏った思考を蔓延させていく危険な現象として
近年、問題視されている。
以下では、インターネット上の
エコーチェンバー現象の例として
私の体験から二つ紹介している。
(1)YouTubeのコメント欄
これはYouTube利用者ならば、想像に容易いと思う。
「批判コメするなというコメで
批判コメが見当たらないんだけど」
よく見るコメントだ。
動画をフォローするコメントで溢れた為に
批判コメントが埋もれてしまったのだろう。
エコーチェンバー現象を用いたメカニズムとしては
1.批判や非難のコメントを誰かがする
2.けれども動画を見ている大半が動画主のファン
3.「その意見は間違っている!」とファンがコメントする
4.このコメントに他のファンが乗っかる
5.意見が増幅されて、批判や非難コメントが埋もれる
仮にその批判コメントが
「動画内容が法律に触れているように思うのですが」
といった内容だとしても
誰かが「これくらい問題ないでしょ!」と言えば
それが正解なのだ。
何故ならコメント欄は
ファンの思想が第一となった閉鎖空間(=反響室)
になっているからである。
(2)キャラクターへの価値観
「キャラヘイト」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
キャラクターの言葉に、増悪の意味を持つヘイトを組み合わせた造語で
嫌いなキャラクターを必要以上にバッシングする行為を指すのだが、二次界隈ではマナー違反として問題視されている。
これは先程と異なり
非難側を支持することにより起こる
エコーチェンバー現象だ。
これは私も実際に体験した悲しい現象だ。
私が好きなキャラクターに対する
キャラヘイトのコメントを時折見かける。
一人ならまだいいのだ。
悲しくはあるが、一意見として認めるべきと考えている。
けれども、その意見に乗っかり
「確かにこのキャラクターはそうだよね(笑)」
とキャラヘイトの意見に賛同して
歯止めの効かなくなった現場を見たことがある。
ここまでする必要ある?
と本当に本当に胸が痛くなる。
今、書きながら思い出しても、苦しい。
普段ならここまでいかない。
けれども一つの作品という閉鎖された中で
更には匿名で書けるインターネットの中だからこそ
簡単に共感の連鎖が起きた。
今ではマナー重視思考により滅多には見ないが
それでも消えない、たまに現れる。
そして、コメントの全てが正しい訳ではない。
エコーチェンバー現象の恐ろしさを知った。
まとめ -共感とZ世代
エコーチェンバー現象は偏った思想を産むが
まるっきり悪い訳でもない。
「当たり前は当たり前に非ず」
私の座右の銘であり、心に留め続けている言葉だ。
自分の見ている世界だけが正しい
という考えは大いに間違っている。
一人、一人、異なる世界を見ている。
私はこの記事を正しいと思って書いているが
読者全てが正しいとは思わないだろう。
エコーチェンバー現象で
気をつけるべき部分はこれだけだ。
自身を客観視することを忘れなければ
異なる共感が掛け算されて
価値観や個性の形が面白く変化していく。
つまらなくてカッコ悪い現象だが
利用法ひとつだろう。
洗脳と同義であることに変わりはないが。
Z世代が周りに敏感で規律より自由を選ぶのは
エコーチェンバー現象に苦しめられた経験と
価値観の偏りからなる討論が産み出した結果
ではないかと考察している。
インターネットは
コミュニティの輪が広がりやすい分
多様な価値観を生成していったのかもしれない。
さて。
フェイクニュースにエコーチェンバー現象にと
自分がいかにインターネットの世界で
他人の意見に踊らされているか
実感できていたらと思うが。
?クエスチョン?
果たして本当に
それは生身の人間だけだろうか。
もしもインターネットの中で
価値観を意図的に操作されていたとしたら
あなたはどう思う?
次回は「アルゴリズムが作る世界」について考えを残そうと思う。