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【物語】 林檎の王様と真っ赤な国 (8)

(前回)

* * * * *


林檎の王様 考えて

紙の魔女に 問いかける


「ところで、提案なのだが、聞いてくれ。私は更なる、更なる色を見てみたい」

「と、言いますと?」

「紙の魔女、この国に住んではくれないか。住んで、毎日、魔法を唱えてはくれないか。そうしたら、その都度、同様、こん盛り、褒美を与えよう」


超過 超過 思考の超過

更なる 王様 提案に

紙の魔女は 生唾ごくり

欲湧き ついつい 跪き


「有り難きお言葉、仰せのままに」


林檎の王様 飛んで喜び

その日のうちに御触れだし

町中 鮮やか 着飾った


林檎の王様 愛するものは知らぬ色

林檎の王様 色を一層ご所望だ


この国のルールはたったひとつ

すべての色を愛しなさい


* * * * *


カラフル国家 万々歳

イロドリ国家 万々歳


前まで ここは 真っ赤な国

今では ここは 色彩の国


毎日 毎日 紙の魔女

城に来ては歌うのさ


トンタラカ トンタラカ トターラカ


赤は情熱 太陽 心を燃やし

青は冷静 水 心を沈ませ

黄は好奇心 大地 心を揺らし

緑は穏和 草葉 心の膨張

紫は気品 花 心を忍ばせ

灰は過去 雲 心は消え

橙は自由 光 心は共鳴し合う民


いと美しい 色彩の国

みんな惚れる 色彩の国


すべての色を 愛しましょう

どこまでも どこまでも 愛しましょう

虹は七色 ひとついろ

場所によるなど しらぬいろ


みんなで一緒に歌おうよ

トンタラカ トンタラカ トターラカ

紙の魔女よ 今日も色を教えてよ


トンタラカ トンタラカ トレーブカ


楽しげ踊る 国の者

各々 色をおしすすめ

赤の上に 青かさね

青の上に 黄かさね

見知らぬ色が生まれていく

鮮やか 赤色 どこへやら


しめしめしめ 紙の魔女

予想以上に 儲かった

国の意のまま 唱えている

生み出す色に 決まりなく

わが財 得るため 唱えている

餅への友情 どこへやら


にたにた笑う 林檎の王様

自身の色すら つまらない

赤から色を 重ねていく

薄汚れていく 林檎の皮


単色 赤色 見当たらない

真っ赤な国はなくなった


いやいや 知らぬ

いやいや 分からぬ


全色への愛こそ わがすべて

赤への純愛 どこいった

いやいや 望んだ姿じゃないか


この国のルールはたったひとつ

すべての色を愛しなさい


今日も一緒に歌おうよ

トンタラカ トンタラカ トターラカ

トンタラカ トンタラカ トレーブカ

「林檎の王様と真っ赤な国 (9)」につづく)



ー!ATTENTION!ー
・2019年に小説投稿サイトの「お題:赤」のコンテスト用に書き下ろした作品です。(再編したものを掲載しています)
・この作品はフィクションです。現実における全ての事と一切の関係はございません。

《ここまで読んで下さりありがとうございました!》
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