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【物語】 林檎の王様と真っ赤な国 (5)

(前回)

* * * * *


林檎の王様 ご機嫌よろしく

城の窓から 赤青染まった 町を見て

頬をぷくぷく ならしている


林檎の王様 落ち着かず

城の窓先 まだ見ぬ色が 加われば

どんな景色に変わるだろう


* * * * *


王様ギャフンと言わせず物足りず

滞在続ける 紙の魔女

あくる日 チャンスが降ってきた

王様からの 唐突 呼び出し

友のためにと すぐさま承諾

何かあったにちがいない

そうだ、ちがいない


* * * * *


紙の魔女を目の前に

気もそぞろな 林檎の王様

紙の魔女は異変に気付き

「本日は如何様で」

と問いかけて

「先日のことでご不満が?」

軽く煽ってみたならば

「実はそのことで頼みがな」

もじもじ 王様 声に出し


「前の青は大変よかった。しかしあれでは満足できぬ。ほかに美しい色は見せれぬか」


思った通りと白い紙

威風堂々 声に出し


「もちろん可能でございます。紙は白色、なんでもござれ。どんな色がお好みか」

「不本意ながら他色を知らぬ、より良い色はないものか」

「それでは黄は如何でしょう。赤は情熱、青は冷静、大変美しい。対し、黄は好奇心、心は次第に弾むでしょう」

「ほうほう、どれどれ、やってみよ」


王様の言葉を聞いたなら

紙の魔女は高らかに

音色を奏でて歌ったさ


””赤は情熱 母なる太陽

 青は冷静 母なる水

 トンタラカ トンタラカ トターラカ

 黄は好奇心それ弾む

 ひとつ 母なる 大地の色

 トンタラカ トンタラカ トレーブカ””


すると どうだ 変わる城

そこらの赤青 黄まじり

更なる色彩 生まれていく


ヒヨコ

ヒマワリ

パイナップル


二色の国に黄がきた

やってきたのは 弾む黄


またもや変わった城内に

興味津々 従者達

今日はうきうき 騒ぎ出す


林檎の王様 満足気

弾み浮き立つ我が心

林檎の王様 笑ったら

和かな顔でこう言った


「黄もなかなか面白い」

「お気に召しましたか」

「ああ、知らなかった、こんな色。黄はなんと明るい。こんな、心は初めてだ」

「ですが、この国は黄を愛せません。従いまして青みたく、変えてしまえばいいでしょう」

「もちろん、そうだ、早くルールを変えねばならない」


林檎の王様 黄を大変気に入った

その日のうちに御触れだし

町中 三色 着飾った


この国のルールはたったひとつ

赤色と青色と黄色だけを愛しなさい

「林檎の王様と真っ赤な国 (6)」につづく)



ー!ATTENTION!ー
・2019年に小説投稿サイトの「お題:赤」のコンテスト用に書き下ろした作品です。(再編したものを掲載しています)
・この作品はフィクションです。現実における全ての事と一切の関係はございません。

《ここまで読んで下さりありがとうございました!》
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