文学作家を夢見た少女はエンジニアを目指すことにしました (2)
自分がなぜ執筆を始めたのか、それからなぜ作家の夢からITエンジニアの道に行くことを決めたのか。
今に至るまでの話を、いくつかの章に分けて話していきたいと考えます。これが何かの繋がりになればと祈りながら。
(前回の記事:「文学作家を〜しました(1)」)
初めての物語づくり
あれは私の生涯において、忘れられない瞬間でした。
小学校三年生の国語の授業、「宝物を探しに」というワーク。
教科書にある地図のイラストから自由に発想させて「宝物を見つけるまでの物語を書こう」という内容でした。今もあるのでしょうか、九つ下の従姉妹は授業でやったと言っていました。
教科書には、大きな地図が一面に描かれていました。
男の子が一人、女の子が一人、複雑な地図の中に、沢山のおっかない動物と、金ピカの宝物の絵が一つ。
(どんな話にしようか。折角ならクラスメイトは書かないような、うんと驚くような話にしたい)
この時は執筆へのワクワク感とは無縁で、地図とにらめっこしながら頭を捻らせていました。
すると、クラスメイトの女の子の呟きが耳に届きます。
「この地図にあるもの全部を使って書いてみようかな」
(それは凄く面白い!)
アイデアに共感した私は、もう一度地図を眺めました。
少し時間を経てからのこと。
物語の流れが地図上で線を引くようにして見えました。
これを書こう。衝動に理由はありません。
この時に浮かんだ映像を、今もずっとくっきり覚えています。
国語が好きになった
国語の時間が本当に楽しみになりました。
物語の続きを書きたくて、書きたくて、どうしようもなかったです。
頭の中の映像が、ワンシーンごとに動いていきます。それをひたすら、ノートに言葉にして書きました。
元々、読書感想文を苦に感じないタイプだったからか、文字起こしに苦戦した記憶はあまり残っていません。台詞は迷ったりしていたかな。
それから、割と色んな話のアイデアを繋ぎ合わせていました。(当時は法律を知らない子供だったので許して下さい)
唯一堂々とできない悲しいところ。特にドラえもんの影は色濃くありますね……(笑)
絶対的に違ったのは、宝島の動物を擬人化させたことでした。当時は当たり前のように書いていましたが、日本昔話やしまじろうの影響でしょうか。
そうして黙々と書き進め、描いていたラストシーンまで完遂しました。
けれども忘れられないほど感動した瞬間は、この時ではありません。
下書きが終わり、授業は清書へと移ります。
感動はその先に待っていました。
(「文学作家を〜しました(3)」へつづく)
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