がっかり通信vol.10
金曜日、勤務終了間近に一本の電話がありました。BOSSからです。
どうやら山の部署で流行りの感染症に社員のお子さんが感染したとのこと。
BOSSは人員配置に悩んでおられました。
もしかしたら社員本人がお子さんから感染したら誰か派遣しないといけないと。うちの出勤状況を確認しておられました。
当部署では「翌日の土曜日が彼のお子さんの体育祭とのことで月曜日はお子さんの代休に合わせ休暇を与えています。」
とBOSSにお知らせ。私のそばで彼は話を聞いています。
BOSSと私の会話を私の返答のみ聞く彼でしたが内容的に理解していると思い彼の顔を見ます。
目をそらす彼。しかし話は理解しておりその先を気にしているよう。
まだその頃は社員は感染していないとのことだったで、こちらの部署を優先させていただき、
「彼はもう帰ってしまい月曜日は運動会の代休で休ませています。」と丁重にお話ししました。
電話を切った瞬間、彼から「誰かコロナなんですか?」と的を射ています。やはり理解していたようです。
「山の社員さんのお子さんで社員本人に感染したら誰か行かせなきゃとBOSSは心配しているんだけど」と言うと
話がつながらない体で「じゃあお先に失礼します」と帰宅。いつもは嫌でも「お疲れ様、気を付けてね」と心無い定型文を返すのですがそれも出ず黙って見送ることしかできませんでした。
この土日、BOSSは人員配置をジグソーパズルのように組合わせを考えていたに違いありません。
そのピースの一つが理由もなく紛失してしまって、ここさえ揃えば何とかなるという状況かもしれなかったのに申し訳ないことをしました。
グループラインでは山の長が「ピースがなくても一人でもなんとかなる」発言。
かたや裏で何とかしてあげようとる人もいる。ベクトルが同じ方向を向いていません。もちろん私と彼のベクトルも…。
私もズバッと「月曜日は山の部署に出てあげて」とモノのように扱えばよかったのですが、
それが出来ず、BOSSを苦しめてしまった。
また、うちの彼に察してほしいはご法度でしたし、私が悪者になりたくないという防衛本能が出てしまった悪い性格があらわになりました。
月曜日になりBOSSから電話がありました。
土日はやはりジグソーパズルでお悩みだったようで他部署にも出勤状況を聞いていたようです。
水曜日は兼務できる?とのことでその日は私が通院のために休暇を取っていたのですが快諾しました。
兼務したくてもできない部署もあり、夏期休暇をずらして兼務してくれる部署もある。もしかしたら嘘をついて兼務しない部署もあるかもしれない。
でもそんなことしたら変な癖がついてしまう。
私は心にしこりを感じていましたのでご協力することにしました。
代休の彼に「火曜日はうちに来て水曜日は山の部署に行ってください」とLINEをしたところ、
「おはようございます。予定変更ですね。了解です。」とさわやかLINEの次にスタンプ(了解です)。
でました三人称です。
周りがどんだけ苦労しているのかつゆ知らず。私の休暇も返上したことに気が付いたであろうとしても知らぬ存ぜぬを貫き通す。
ちなみに彼女は「他の日に休暇取ってくださいね」と嫁でも言わない労いを「早く帰ってきてね」と新婚ホヤホヤのように言ってくれたように感じたのは私だけでしょうか。
あの時、私が将棋の駒のようにBOSSに「いいですよ。月曜日に行かせます。」と言っていれば、BOSSも土日悩むことなく、水曜日に私も休暇が取れ、エリア内兼務も丸く収まったことに悔いています。
彼にとってもうちの部署ではなく山の部署の方が気楽だろうし、BOSSは律儀な方なのでLINE等でエリア全局に彼に行ってもらいましたと送信され、彼は一躍勇者(本当はwizardだけど)と称されるに違いありません。
ここまでして守る社員なのか、何が「徳」で何が「損」で、「徳」の方に向かおうと努力しても最終的に自分が身を削ることもある。
トゥモローでネバーなノウズです。彼を切り捨てたい気持ちは強いですが管理者として大きく化けさせたい気持ちも強い。
歩が金になる日はいつなのか………。
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