自己紹介 なぜ三井住友銀行を辞めてRIZAPへ転職をしたのか?
先日、前職の後輩に仕事の近況を聞くと「実は、転職を考えているんですよね…」との言葉があった。なぜそう思っているのか?何をしたいのか?と彼の想いを聞き、最後には、考えが整理されて良かったです!とモヤモヤ感も抜けたスッキリとした顔を見て嬉しくなった出来事がありました。
確かに、ふと「転職したいな…」と思ってしまうこと、ありますよね。私もその経験はありますし、実際にそれがきっかけで転職に繋がったこともあります。銀行のような大企業から中堅会社、そしてAI領域のスタートアップへ移った時。企業フェーズ、業種もバラバラな会社に結果として転職をしました。
彼の話を聞き、当時の私もいざ転職を考えた時は、考えを整理することに相当エネルギーを使ったな…と思い出したわけです。
転職が頭をよぎる時はいつも、
・仕事をやり切った時
・仕事が自分自身のキャパを超えてしんどい時
・仕事をしていても何かしら物足りなさを感じる時
良くも悪くも、ベストな状態ではない時にその発想に繋がることが私の場合多かったように思います。
彼と話すきっかけがあったので、当時私がどんな心境で転職に至ったのか(特に三井住友銀行を辞めた時を中心に)メモとして残します。当時の私のように転職、キャリア、自己成長に悩んでいる方に、少しでもヒントになれば嬉しいです。
なぜ新卒で三井住友銀行へ入社したのか?
転職の前に就職活動の話を残しておきます。なぜ三井住友銀行に入社したのか?それは、自分自身を鍛えたい、社長の右腕になりたい、理由はこの2つです。
実家は建築関係の会社を営んでいました。父親は家に帰ってもいつも険しい顔つきをして、母親は家でも父親を「社長」と呼び、リビングは毎日緊張した空気で張り詰めていました。両親は共働き、兄と姉は10歳近く離れていたこともあり、勉強や家事や身の回りのことは一人でこなすことが多かった。そんな環境で私は育ちました。
その影響を受けたのか、就活時の軸は、
・社会人として素養を磨くことができること
・企業の社長の右腕として経営を支援できること
この2つの条件で企業を選び当てはまったのが銀行でした。そして一番初めに内定をいただいた三井住友銀行に縁を感じて入社を決意しました。
なぜ三井住友銀行を辞めてRIZAPグループへ転職したのか?
三井住友銀行を約10年間勤め、初めて転職したのは32歳の時です。RIZAPグループへ転職しました。その時の軸は、
・経営に近い立場で事業に携わりたい
・それを通じて自分自身を鍛えたい
この2つです。就職時とさほど大きく変わりませんが、銀行員のようなアドバイザーの立場ではなく、現場に入り、現場の社員と一緒に企業を成長させたい気持ちが強くなったのが正にこの時です。ただ、一足飛びにその考えに至ったわけではなく、仕事での失敗や学びを得て、考えて、転職に至りました。
仕事での失敗について話しておきます。それは2つ目の営業店の時、法人向け融資担当として営業をしていた頃の話です。当時の上司がとにかく厳しかった。仕事の質・量・スピード全てにおいて要求が高く、寝る時間も1日数時間、土日も仕事に割き、上司の教えを吸収しようと毎日必死でした。しかし、思うほど営業成績は伸びず、結果、年1回の昇進時期に昇格することができませんでした。更に悪いことは続くもので、全身にじんましんが発症する、朝起きて体が動かないといった心身の不調と子育ても重なったこともあり、仕事と私生活の両立が次第に難しくなっていきました。その後、間もなくして本部への異動が決まります。
ここで初めて「転職」の2文字が頭をよぎりました。昇格もできず本部へ異動して、今後のキャリアが望めないことに対する後ろ向きな理由からきたもので、ここで転職しても望む道は限りなく少ないことが分かっていながら、どうしても自分の感情を抑えらなかったのです。ただちょうどその時、食事に誘ってくれた異動先の先輩の言葉に救われます。
それを聞いて張り詰めていた緊張の糸のようなものがプツっと切れた感覚になり、周囲の評価や昇格ばかりを気にしていた自分に気付かされました。それと同時に、逃げるように転職しようとしていた自分が未熟で情けなく感じました。
「時間とお金と体力を全て投じて自分を変えないと、今後一生何も変わらない」と思い、調べた末、グロービス経営大学院で3年間学ぶことを決意しました。
グロービスでは他の学校同様、実際にあった事例を通じて経営の意思決定を行います。正に経営の疑似体験です。目先の仕事や部署全体の課題に学びを応用しながら思考を定着させていきました。次第に、経営の立場から組織を変えていきたい、事業を大きくしていきたい想いが強くなり、人事の公募内容を確認して経営企画部に思い切って応募してみました(しかも2回)。ただ、結果は見事に惨敗。キャリアが乏しい私がそう簡単に中枢の経営企画部へ異動できるはずもなく、負け戦と分かっていながらもチャレンジせずに外に目を向けることだけは避けたかった。ここまでやってダメなら仕方ないと良い意味で諦めがつき、今度は前向きに転職する決断ができたのです。
内定は数社からいただきましたが、RIZAPグループを選んだのは当時元カルビーの松本代表取締役会長兼CEOがジョインされ、経営のイロハを間近で学べる期待感と最後は理念が決め手となりました。
「すべての人には理想の自分がある。変わりたいと思っても変えられない自分がいる。お客さまのそんな想いに寄り添い、『人は結局、変わらない』という世の中の常識も変えていく、必ずそれを証明し続ける。」
世間では何かと問題視されるRIZAPですが、私は今でもこのRIZAPグループの理念が好きです。この理念が伝えたいことをこれまでの私も体現してきたが故に、お客さまはもとよりRIZAPの組織にも浸透させたい、そしてこの繋がりのご縁を大切にしたいと思い、RIZAPグループへ入社することを決めました。
最後に振り返ってみて
銀行から事業会社へ至る最中の出来事や心境を残しました。
雇用の流動性が高まる中、外部環境の変化に合わながら「ありたい自分像」を照らし合わせていくには、これまでの「一直線のキャリア形成」は崩れると考えています。
ある時はフルタイムの明確な地位に就き、ある時はフリーランスで特定の業務だけ行う。決めた道を歩みつつも、その時の楽しみや感情に任せて寄り道すると意外な発見に出くわし新たな能力開発に取り組む、といったことも往々にしてあると思います。
私の場合、経営を軸に職場を変えてきたわけですが、その過程で思いがけないチャンスやご縁に恵まれ、それに応えることでまた新たな道が開かれる経験も得られました。銀行員時代の失敗は失敗ではなく、乗り越えるための試練であり、本当に有難い経験をさせていただいたと思います。
私の後輩同様、転職やご自身のキャリアで悩まれる方も多いと思いますが、当然のことながら、仕事・キャリアだけが全てではありません。人生は仕事の他に、健康、家族・人間関係、お金、時間、住環境、貢献、ワクワク感等、これらの要素がバランスされて初めて幸せを感じるものです(仕事が順調でも愛する家族との時間がなかったり、体調を崩してしまうと仕事以前の問題です)。
ふと「転職」が頭をよぎった時は「自分は一体何を手に入れたいのか?」「理想の自分像は何なのか?」。この問いに向き合うことをお勧めします。仮に答えに至らなくても、今後のキャリア形成に必ず活かされるはずです。陰ながら応援していますし、何かコメントを残してくださればお返しします。
最後に、三井住友銀行の上司には感謝いたします。こんなダメな部下に多くの時間と愛情を注いでいただき今があります。あの時の厳しいご指導がなければ今の自分はありません。
そして、仕事で調子が悪い時も、仕事やグロービスの勉強で家事が手伝えない時も、変わらず傍で支えてくれた妻。こんな自分勝手な私を許し、いつも励ましてくれて、心から尊敬すると同時に言葉に言い尽くせないほど感謝しています。