遺言書がある?ない?その調べ方とは
相続という観点からお話ししますと、家族が亡くなられたときにまず最初に考えなくてはいけないことは、遺言書があるか、ないか、ということです。
財産分けは、遺言書があれば、原則として遺言書に沿って行いますが、なければ、相続人間で財産分けの話し合いを行う必要があります。
では、どのようにして遺言書の有無を確認すればよいのでしょうか。
😉遺言書の3つの種類
遺言書の調べ方は遺言書の種類によって異なります。
遺言書の種類は基本的には次の3つになります。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言する人が自ら、その内容、日付、署名全てを自筆で書き、押印して作成します(民法968条)。
全文を自筆で作成する必要があり、代筆やパソコン・ワープロ等によるものは無効となります。
ただし、相続法改正(2019年1月施行)により、相続財産の目録については、自書によらないでもよく、パソコン等によることも可能になりました。
②公正証書遺言
公正証書遺言は、証人2人の立会いのもと、公証人が遺言者の口述に基づいて遺言書を作成し、遺言者、証人、公証人が署名押印して作成します(民法969条)。
③秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言に封を施し、遺言書が封入されていることを公証人役場で公証してもらう方法により作成します(民法970条)。
つまり、遺言の内容は秘密のまま、遺言の存在のみを公証人に証明してもらうことになります。
😍遺言書の探し方
まずは、家の中の整理から始めましょう
そもそも、遺言書があるかないかわからない訳ですが、自筆証書遺言書の場合は保管制度がなかったため(2020年7月施行の相続法改正により、自筆証書遺言を法務局に保管することができるようになりました)、家の中に保管するのが一般的といえます。
遺品整理を兼ねて、家の中の整理から始めてください。
家の中で見つからない場合の保管場所として考えられるのは、以下のとおりですので、一度問い合わせてみましょう。
・税理士、司法書士、弁護士などの士業に預けている
・銀行の貸金庫に保管している
・信託銀行に信託している
・檀家となっているお寺や菩提寺に預けている
次に、公証人役場で照会してみる
遺言の存否の証明は、 全国どこの公証人役場からでも請求できますが、 遺言の閲覧・謄本請求はその遺言を作成した公証人役場にしなければなりません。
平成元年(東京都内は昭和56年)以降に作成された公正証書遺言であれば、日本公証人連合会において、全国的に、公正証書遺言を公証人役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等をコンピューター管理しいていますから、すぐに調べることができます。
遺言書の検索では、秘密保持のため、相続人等利害関係人のみが公証人役場の公証人を通じて照会を依頼することができます。
遺言者の除籍謄本と、請求者の身分を証明するもの(運転免許証等)を持参し、近くの公証人役場で遺言書の存否を照会します。
但し、秘密証書遺言については、 何時どこの役場で作成されたかは検索できますが、遺言書そのものは公証人役場で保管されません。
😎注意すべきこと
自筆証書遺言、または秘密証書遺言が自宅の中で見つかった場合には、封印がある場合は、勝手に開封してはいけません。
家庭裁判所以外外の場所で開封したり、家庭裁判所の検認の手続きを怠った場合には、法律では5万円以下の過料が科されることになっています。
家庭裁判所にて遺言書の検認をしてもらってください。
勝手に開封したからといって、遺言書が無効になるわけではありませんが、開封したことで遺言書の偽造や変造を疑われる場合があります。