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国内回帰⇔グローバル化

 新型コロナウイルスは、世界中で多くの人々を不安と混乱に陥れるとともに、経済にも大きな影響を与えています。国際通貨基金(IMF)の試算によると、今年の経済損失は5兆ドル(名目GDPベース)にも及ぶとのことです。また国際労働機関(ILO)は、世界中のフルタイム労働者の2億人弱が仕事を失う可能性があると予測しています。

 では、今後コロナウイルス感染拡大は世界(社会)にどのような影響を及ぼしていくことになるのか、予測してみます。

▼世界の多くの国でレジャーや旅行、サービスに対する支出がストップ(食品や日用品以外の消費活動が行なわれなくなった) ←今ここ

▼その結果、多くの雇用が失われる

▼さらに消費が減退する

▼海外投資の採算が悪化(日本企業にとって最大は自動車)

▼世界中でエネルギー需要が減少する

▼米エネルギー企業の収益・株価下落

▼米金融機関の含み損拡大 → 金融収縮が世界に連鎖

▼金融機関による大規模な貸金回収 →不良債権の拡大

▼連鎖的な企業倒産(中小企業、ベンチャー企業)

 できることなら、ここまで波及することなく問題が終息することを願いますが、そんなに悲観的過ぎる予測とは言えないのではないでしょうか。

 

 そして、過去の不況期がそうであったように、国内のムードは「反グローバル化」に向かい、投資、生産、在留者の国内回帰が進みます。

 しかし、「生産の国内回帰」といっても人不足が解消されることはありません。自動化・省力化、に加え、急速に進むオンラインコミュニケーションの技術・仕組み・習慣によって、働き方改革、地方分散が並行して進むことが条件です。

 また、「海外需要が減退」といって国内のみに目を向けても、国内の消費市場が再び拡大するとは考えられません。よって国内産業が存続していくためには、成長分野への投資、転身が不可欠です。

 ここで重要なことは、「オンラインコミュニケーションの飛躍的な普及」です。落合陽一氏は、その影響を“天候の奴隷”からの開放”と前向きに表現しています。

 オンラインでの働き方やマネジメントが定着すると、新たな分野に転身する際などに雇用する人材は、「本社に通勤できること」を条件としません。すなわち、“最適な相手”との協業(本社に通勤できなくてもよい、日本にいなくてもよい)” ができる可能性があるということです。

 これは反面、どんな“チーム”を組むか、が勝敗の分かれ目になるということでもあります。

 特に最先端の技術分野では、本社の通勤圏にいる人だけで構成されたチームと、世界中から優秀な人材が集うチームのどちらが優れた成果を出すかは言うまでもありません。

 そしてそこで不可欠になるのが高度な国際コミュニケーション能力です。

 世界中の人がオンラインでつながり一つの事業やプロジェクトを行なう、いわば海外出張、海外赴任を伴わないグローバルビジネスをリードできる人材をいかに育てるか、また一方で進む「ジョブ型(職務型)」の人事管理システムへの移行と、世界の優秀人材が共鳴し、仲間に加わりたいと思う理念(パーパス)の形成と発信。これらをセットで考えることが、アフターコロナ(ウイズコロナ)に求められる日本企業の変革に繋がるのではないでしょうか。

 表向きでは”国内回帰”が進みつつ、本質的には一層のグローバル化が求められる、これこそがアフターコロナ(ウイズコロナ)の事業環境なのではないでしょうか。

 いずれにせよ、感染に苦しむ世界中の人が一日も早く回復し、今後も決してなくなることはないウイルスの脅威と共存しながら、私たちの生活やビジネスがよりよいものへと進化することを祈るばかりです。

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