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ワインに深入りしないワインの話(2)シャトー・シトラン 2002 ~ 在職20年のベテラン部長(歳は取っても現役バリバリ)

シャトー・シトランは、1~5級の格付シャトーのすぐ次のランクである「クリュ・ブルジョワ」の中でも上位に位置するワインです。

アペラシオンはオー・メドックです。
今回のボルドーは古酒です。22年目を迎えています。

シトランは、もともと芳醇な果実感を特徴としてきましたが、この2002年もそのスタイルが明確に現れています。

黒いベリー系の果実の風味が濃醇に漂います。
土埃や動物の毛皮、黒コショウの香りがするのもメドックの良いワインのお約束です。

やわらかい口当たりのなかに優美な酸が感じられます。
芳醇な深みがあります。
どっしりと重いタンニンが見事に溶け込んで、底のほうから湧き上がる感じがします。

造りとしては、モロに古典的です。
どちらかというとエレガントさよりも重厚さがまさっています。

このワインの良さを一言でいえば、丸み、ラウンドネスです。
どんな荒くれ者をも包み込む包容力といってもいいかもしれません。

試飲しましたが、ほんの僅かに全盛期を過ぎかけています。
とはいえ、その時にしかない味わいが価値になります。

ジェットコースターでいえば、カチカチと長い坂道を登ってきて、最上段でゆっくり微動していたときから、ワー!と下り坂に入る、あの一瞬です。

乗客のワクワク感が最高潮に達して、そこから止まったような時間を一呼吸過ぎて、全乗客が歓声をあげ始める瞬間といえます。

もっと年数が経過すれば、レンガ色の古色蒼然たるアンティーク級の古酒になるのですが、勿論それとは無縁なまだまだ脂の乗った現役選手です。

昇進したばかりではなく、もう長く部長職にあるベテラン管理職ですが、定年や出向とは無縁のまだまだバリバリの現役ライン部長です。

これから少しづつ年季が入っていく剝落の美、おっと失礼、伯楽の美を鑑賞するのも乙なものです。

輸入会社の在庫で定温倉庫に長期滞留していた掘り出し物です。

何かの時に取っておくのではなく、いますぐにでも飲んでいただきたい1本です。

人間もワインも生き物です。
全盛期だと自認したら、それは後退期に入っているサインかもしれません。

とはいえ、まだまだパワーが有り余っていますので、お料理は牛・豚ロース・ラムなど、四つ足系の肉をがっつり合わせて頂くのがよろしいと思います。
酒言葉=持満


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