「はやぶさ2」は「宇宙ロボット」だった!
昨日、2014年12月に打ち上げられた探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルを地球に帰還させました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一プロジェクトマネージャは「カプセルは完全な状態で帰ってきた」と述べ、ミッションが無事に成功したことを明らかにしました。
「はやぶさ2」は、一般的に「探査機」と紹介されますが、一種の「宇宙ロボット」でもあります。というのも、小惑星リュウグウに着陸するだけではなく、衝突装置で小惑星表面に人工的なクレーターを作って内部の物質を採取したり、4台の小型ロボットを投下して様々な観測を行ったりしているからです。地上管制システムを通じて自律的な動きを効率的に変更・修正できる仕組みも採用されています。一種の遠隔操作ロボットと言えましょう。
『ロボジョ! 杉本麻衣のパテント・ウォーズ』(楽工社)に登場する食材移動ロボット・ベラリオン(諸事情によりライオン型となっています)は、「適切な食材や調味料を選択してそれらを自動調理器に投入する」という役回りを果たします。拙著を読んで「こんなロボット、本当に作れるの?」と尋ねてきた読者の方もおられました。しかし、前述したような「はやぶさ2」の働きと比べれば、全然大したことはありません。特に、『ロボジョ!』のベラリオンでは、ミッションを実現するための情報(食材、調味料、調理等の情報)はすべて揃っていますが、一方の「はやぶさ2」では、すべての情報は織り込み済みではありません。前人未到の小惑星に初着陸するわけですから、予期せぬことも当然起こり得ます。
近年の科学技術予算の削減で、このようなチャレンジングなプロジェクトには大きな予算が付きにくくなっています。限られた予算を何に使うのかという点は大変重要ですが、「国民の人気取り」に流されてしまうのも危険です。小保方晴子氏を前面に押し出したことが騒動の一因ともなった2014年1月の「STAP細胞騒動」のことを思い出してください。研究不正が明るみに出なければ、巨額の資金が投入された可能性も否定できません。
政府には長期的な国の科学技術成長戦略を明確にしたうえで、適切な形で「未来への投資」を行ってもらいたいと考えています。科学技術政策だけではなく、コロナ禍対応を含めたすべての政策にも同様のことが言えますが……。
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