私たちは何かしらの作業をして報酬を得る、という行動をしている限り、自らの適材適所を見つける必要があるという課題を持ち続けていることになります。自分が得意で(=効率的に作業をして報酬を稼ぐことができ)、かつ楽しく働ける(=効率的な作業をする状態自体が報酬であり、その状態を長く続けられる)仕事を見つけられれば、幸福を感じることもできるし、自分の存在自体を肯定的に捉えられるでしょう。

特にエンジニアリングの世界では、どの技術を磨くのか、あるいはどのキャリアを選択するか、はその後の結果に重大な影響を及ぼします。エンジニアリングマネージャーから見れば、メンバーのキャリア選択にある程度の責任を感じ、適した仕事のやり方をアドバイスしたくなるのですが、そこは堪えなくてはいけません。エンジニアリングマネージャーの役割は適材適所を押し付けるのではなく、メンバーが自身の道を見つけるための支援をすることです。

「適材適所は自分で開発する」という考え方

まずは、適材適所は自分で開発するという考え方の重要性を理解する必要があります。他人から「これが向いている」と言われることは、様々な場面で見られます。自分自身が、その意見に納得がいけば従うのも良いですが、本心から納得していない場合に、他人の言う適材適所を続けることは悲劇を招くこともあります。

自分自身に縛られないように

ただ、自分でも適材適所を見つけるのは難しいものです。現代においては、多くの人が「こうなりたい」という理想のキャリア像に縛られていますし、あるいは医師や法律家のように専門的な教育を受けたことで、そのキャリアに固執してしまう、ということもあります。

しかし、夢や目標は時と状況によって変わっても良いのです。固定観念に縛られず、柔軟に考えることが重要です。

メンバーのキャリアに対して、常に複数の選択肢を持つ

エンジニアリングマネージャーは、チームメンバーが一つの技術や方法論に固執し過ぎることなく、他の可能性も見出せるようにする責任があります。こだわりが強すぎると、自らの可能性を見失い、最終的には不幸な結果を招くこともあります。

現代の技術の進歩が激しい現代では、自分の役割や技術がいつまでも変わらない、と考えることはできないでしょう。それに、偶然が何か新しい事象を生み出すこともあります。クランボルツの「計画的偶発性理論」やジョブズの「Connecting the dots」のように、過去に持っていた能力や経験が、その当時は思いもよらなかったことに活かせる未来が来るかもしれません。そのため、常に複数の選択肢を手元に用意し、準備することが重要です。

可能性を引き出す環境を提供する

エンジニアリングマネージャーは、チームメンバーが自身の可能性を最大限に発揮できるような環境を提供することが求められます。それは、単に技術的な知識を教えるだけでなく、メンバーのキャリアの選択肢を広げ、彼らが最高のパフォーマンスとコラボレーションを実現できるように支援することが含まれます。そして、このことが、最終的にプロダクトの成功と企業の成長へと導くことになります。

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