「Will-Can-Mustシート」の効果的な使い方: キャリア開発と目標設定では使い方を変える
現代において、所謂ソフトウェアエンジニアのキャリアパスは一筋縄ではいかない、というのは多くの方が実感を持って感じるところでしょう。
ソフトウェアエンジニアに限らず、自身のキャリアを考えることはときに迷路に迷い込んだようになります。多様なスキル獲得の選択肢、急激な業界の変化、そして個人の価値観やライフスタイルの選択。そのような中で、自分自身のキャリアや目標をどのように設定し、それを実現していくかは、多くの人にとって大きな課題となっています。
そこで役立つフレームワークの一つに、リクルートが開発した「Will-Can-Mustシート」があります。このシートは、新しい仕事やプロジェクトの立ち上げ、自身の長期的なキャリアプランの策定、または短期的な目標の設定時など、様々な場面での意思決定や計画の支援として使用されています。具体的な方向性を持ちながら、自分自身の能力や要件を確認する際の優れたガイドとなっています。
ですが、私がWill-Can-Mustシートを使う場合は、使用する場面によって使い方を変えています。その使い分けについて「キャリア開発する場合」と「目標設定してゴールを目指す場合」でどのように変えているかを今回はご紹介します。
キャリア開発する場合の使い方: Can-Will-Must の順に考え、行動に落とし込む指針を作り出す
例えば、新卒で就職活動をする、また新たなキャリアを目指し自分のスキルの棚卸しをする、こういったフェーズの場合多くの人はWillについて解像度が低い状態ですので、まずはCanを最初に考えてからWillへと向けたほうが良いでしょう。
Can(キャン): こちらのステップでは、自身の持っている「能力」や「スキル」を最初に洗い出します。これにより、現在の自分のスキルセットや得意な分野を明確にすることができます。
Will(ウィル): 次に、「意志」や「動機」を考慮します。自分がどのようなキャリアを望んでいるのか、何に情熱を感じるのかを、既に持っている能力と合わせて確認します。
Must(マスト): 最後に、「必要条件」や「要件」を洗い出します。キャリアを積む上で必要な条件や、目指す職種や役職の要件を特定します。
目標設定してゴールを目指す場合の使い方: Will-Must-Canの順番で、ゴールを目指しながら能力開発を進める意識を高める
大きなキャリアの方向性を決まりつつ、次の成果をどのように創出すべきか、自身をどのように鍛えていくべきかを考える場合は、Willを固めてから、Mustとすり合わせてCanを詰める、という手順を踏みます。
Will(ウィル): 目標設定の際は、最初に自分が何を達成したいのか、「意志」や「動機」を明確にします。これにより、目標に対する強い欲求や動機づけを確立することができます。
Must(マスト): 次に、その目標を達成するためにどのような「必要条件」や「要件」があるのかを明らかにします。例えば、新しいビジネスを立ち上げる場合、必要な資金や人材、設備などの条件を挙げることが考えられます。
Can(キャン): 最後に、目標達成に向けて自分がどのような「能力」や「スキル」を活用できるのか、また、どのような能力を新たに獲得すべきなのかを考察します。
まとめ
Will-Can-Mustシートは、その活用方法により、キャリア開発や目標設定の両方のシナリオで非常に有用です。個人が自身のポテンシャルやキャリアの方向性をより明確にし、具体的なアクションプランを策定する手助けとして、このツールは多くの人々に推奨されています。Will-Can-Mustシートの特性を理解し、それぞれのシチュエーションに合わせて最適に活用することで、自分のキャリアや目標を効果的に推進することができるでしょう。