1on1、コーチング、メンタリング、OJTなど、メンバーと仕事を共同して進めるなかで、またマネージャーとして指導していくなかで、質問するシーンは度々出てくると思います。
なぜ質問をするのか?
質問をするときは、当然「自分は知らず、相手は知っている状態」、つまり情報の非対称性を是正することが直近の目的になります。その先には、たとえば状況の把握であるとか、問題解決であるとか、そもそも問題発見であるなど様々です。
一方で「効果的に気づきを与える」ための質問をする場合があります。つまり、情報を得ることが目的ではなく、情報を提供する側が情報を整理し、あるいは問題を発見し、考えを促したりする目的での質問です。このような効果を得るための質問について、いくつか種類を上げて整理します。
質問の種類
限定質問
一般的にクローズドクエッションと表現するものです。
特定質問は「Yes / No」「はい / いいえ」で答えられる、はっきりした意見を聞くために行う質問です。この質問は前提の確認や、議論の導入に使うことで、トピックのスコープをはっきりさせ、またお互いの議論の導入としての準備として活用できます。
例:
「あなたはこの仕事が好きですか?」
「今度の年末年始は実家に帰りますか?」
拡大質問
一般的にオープンクエスチョンと表現するもので、特定質問のような「はい / いいえ」で答えられない、相手の考えを引き出すような質問です。
このような質問には正解は無く、質問された側の考えや意見を答えることになります。殆どの場合は考えを整理したり、自ら派生的に考えながら答えることになるため、新たな気づきを得られます。一方で、拡大質問が重なると非常に疲労します。
例:
「そのとき、あなたはどう考えていましたか?」
「仮にその条件が違ったらどういう結果になっただろうか?」
拡大質問の派生
拡大質問は、相手の考えや意見を引き出すものですが、このカテゴリーからさらに細分化される質問の形式があります。これらは状況に応じてさらに詳細な情報を引き出すために用いられます。
関連質問
関連質問は、すでに共有されている情報をベースに、質問をするものです。限定質問・拡大質問のどちらもとることができますが、関連質問はベースとなる情報に沿って考えることができるため、拡大質問よりも負荷が低く、答えやすくなります。
例:
「新しいプロジェクトがはじまって、みな忙しく働いているが、あなたはどうですか?」
「あなたのリーダーはこのように考えているようですが、あなたは同じ意見ですか?意見が違うところはどこですか?」
深掘り質問
深掘り質問は、回答する側の意見の詳細について更に質問するものです。限定質問の回答「はい / いいえ」に対してその理由を聞くのも深掘り質問になります。関連質問は負荷を下げますが、拡大質問はより多くの情報を整理し、考えをまとめる必要があるため負荷が上がります。
例:
「なぜあなたはこの仕事が好きなのですか?」
「実家に帰ったら何をしようと考えていますか?」
質問返し
質問返しは、回答者から出た疑問や質問をそのまま相手に返して考えを促すものです。質問返しは回答者側に考えることを促しますが、多くの場合「情報がそろっていない」「適切な回答がわからない」から質問をしているので、拡大質問の中でも一番負荷が高い行動になります。
相手に気づかせるために質問返しをする場合は、ヒントを出すなど負荷を軽減させるなどの対応が必要です。また質問側が意図する回答が出るまで質問返しを繰り返す行為は信頼を失うので注意しましょう。
例:
「あなたはどう思う?」
まとめ
今日取り上げた質問の種類は、マネージャーであれば無意識に使い分けていると思います。
しかし自分がしている質問が「情報をまとめようとしているのか、広げようとしているのか」「相手の負荷を上げているのか、下げているのか」という点に気をつけるられれば、コミュニケーションがより円滑に、そして情報の非対称性の解消や問題の解決にいち早く結びつくことになります。
質問を意識的に使い分けることで、日々のコミュニケーションにおいて、より深い洞察を引き出し、チームの成長に貢献することが可能です。日々の対話の中でこれらのテクニックを意識してみましょう。