テクニカルプログラムマネージャーについて

ここ数年「テクニカルプログラムマネージャー(TPM)」という職種がTech企業の一部で導入されています。具体的にはメルカリ（メルペイ）や、LINEヤフー、ファーストリテーリングなどです。

TPMの定義は企業によって若干の違いはありますが、大まかな役割としては開発プロジェクト専任ではない、横断的な支援・監督を行う役割であると言えます。（私はPMOのエンジニア版と捉えています）

多くの場合、プロダクトの開発そしてリリースまでを円滑に行うためのあらゆる側面で監督・支援する、マネージャーよりはもう少し現場寄りのポジションになります。

今日は、いくつかの情報からTPMについて簡単にまとめます。

テクニカルプログラムマネージャーの職務

TPMの職務には次のようなものがあります。

要件の作成

TPMはビジネス側のメンバーと協力して、必要なプロダクトの要件を理解し、整理して作成するところまでを行います。このとき、どのようなシステムが必要か、必要なリソース、開発とテストに必要な時間、および必要な人数など、開発チームを立ち上げるための情報を精査します。

プロジェクトのスコープ定義、スケジュール計画、さらには管理

TPMはプロジェクトでいつまでに、どこまで開発するのか、その開発規模とスケジュールを計画・管理します。これには、開発に関わるステークホルダーとの調整といった、周辺の作業も含まれます。

レポートの作成

プロエジェクトの現状や課題、今後の見通しなど、組織のステークホルダーに説明するためのレポートを作成する役割を担います。たとえば、詳細なバグレポートをEMに提供するなどします。

必要なスキル

TPMの役割を全うするために必要な重要なスキルがいくつかあります。

コミュニケーションスキル

TPMは、EMやPdM，PjM、エンジニアに代わり、さまざまなチームの複数の担当者とコミュニケーションを取ることとなります。これはビジネスメンバーやコーポレート、ボードメンバーだけでなく、外部ベンダーまでもが含まれます。 場合によっては、複雑な技術的問題をビジネスメンバーに説明する必要があり、現在のプロダクト開発においての重要な情報を理解して説明できるだけの能力も必要となります。

技術スキル

上記にも挙げた通り、TPMは説明責任を負うため技術的なスキルと経験を持っていることが望ましいです。実際にコーディングまでは行う必要はないかもしれませんが、ときにはチームをサポートできるようなレベルの技術は常に持ち合わせている必要があります。

プロジェクト管理スキル

プロジェクトにPjMがいない場合、TPMがPjMになり代わってプロジェクkと管理を行うことがあります。特にアジャイルの知識や、一般的なスケジュール管理、問題解決、戦略的思考などをも使いながらプロジェクト管理を遂行します。

危機管理スキル

プロダクト特有の（法的・市場的）リスクとその影響を把握し、その影響を考慮して、マネージャーの意思決定を支援することがあります。それは単純にバグの修正工数から、プロダクトの文化的影響まで様々です。

リーダーシップと信頼

プロダクトを作り上げるには、強いリーダーシップとメンバーとの信頼が不可欠です。TPMはプロジェクト管理の観点から、メンバーの役割・目標設定を支援し、プロダクトの成功に向けて同じ方向を向いている（向けさせている）ようにする力が必要になります。

ビジネス知識

組織やプロダクトはエンジニアだけで作り上げるものではありません。ビジネス部門とテクノロジー部門はそれぞれ会社運営をどのように捉えているか、また予算や利益などの基本的な財務概念を理解しているか、が非常に重要になります。またこれらのビジネス知識は、今後のプロダクトの成長に役立つような製品についてしっかり理解出来ていることが重要です。

まとめ

あまり耳慣れないテクニカルプログラムマネージャーについて紹介しました。エンジニアリングマネージャーが一つのプロジェクトを包括的にサポートする上位人と捉えるならば、TPMはその対応の手法だけ取り出したビジネスとエンジニアとの架け橋のような存在となります。