上海生まれの娘と僕は三角関係⑮
僕の娘は上海生まれ。
娘と二人で小学校に潜入した日。
幼稚園での2年間はあっという間に過ぎて行く
入学の連絡を聞いた厦門のコロンス島が
昨日のように懐かしい
幼稚園も卒業を迎える
最後は楽しく歌って踊って明るい
卒業式となった
6月末で中国の学期は終了し夏休みに入る
そして9月より新年度が始まる
夏は2カ月ほどの長い休みがある
幼稚園を通ってる間に
習い事も何個か始めていた
劉さんの両親の知り合いから
楽器の琴が安く手に入るという事で
琴を習う事になり
バレエ教室の先生が知り合いとかで
バレエを習いだしたりと
中国では色んな人の繋がりや紹介で
何かを始めたりする
そうやって少しずつ世の中に
娘も一歩を踏み出して行く
長期の夏休みを利用し
娘は再び日本へ行く事を決めた
2回目となる一人での長期滞在
今回は2回目とあり気持ちも楽
1年前に出会った日本の友達や
楽しい思い出に今年は
楽しみにしている
7月中旬
上海を離れ日本に行き1年ぶりに
婆ちゃんと爺ちゃんと再開を果たす
成長した娘に僕の母も父も嬉しそうだ
数日の滞在で僕は一人上海へ戻る
今回も娘は1年前と同じく
パパ いつ上海へ戻るの?と
何度も聞いてくる
でも今回は泣かないよ と
笑顔を見せるが心は寂しそう
夜は仕事帰りにコンビニで
スイーツを買って帰る
お風呂あがりに娘と一緒に
食べるのがたのしみだった
プリンやケーキやシュークリーム
お風呂から出ると冷蔵庫にある
スイーツを出してお皿に入れて
自分の飲むジュースを用意して
先に待っててくれる
僕は少し遅れお風呂を出て
コーヒーを淹れ二人で買ってきた
スイーツを半分こずつして食べる
この時間が1日の中で
一番幸せな時間だった
このまま日本に居たいな~
上海に帰りたくないという
感情がこみ上げる
そして上海に戻る日の朝
1年前と同じように朝 神社にお参りにいく
娘が無事に過ごし怪我のない事を祈る
娘に何お祈りしたの?と聞く
娘は
パパが無事に上海に戻れるように・・・と
祈ってくれていた
えっそんな事お祈りしてくれたんだ!
と嬉しくなり
必ず迎えに来てね!見捨てないでね!
じゃないの?と娘に聞き返す
パパは絶対に来てくれるもん!と笑顔
そして帰り道にある小さな公園の
ブランコで遊んだ
あの時も ここで遊んだ
そして
この後、家に帰り娘は大泣きした
一緒に上海に帰りたい!と
僕にしがみつ泣き崩れた1年前
フラッシュバックのように思い出す
バス停まで見送りにきて今年は
泣くのを我慢してくれた
バスが来るまで時間があり婆ちゃんが
コンビニに行き僕と娘は二人きりになる
すると急に寂しくなったのか
娘の目に涙がみるみるたまる
あれー泣かない約束でしょ
パパ〜・・・
早く迎えに来て・・・・ね
今年は大声で泣きはしないが大きな涙が
幼い頬を流れていった
僕も思わず 目に涙がたまる
やっぱり離れたくないな~と
僕も感情に負けてしまう
バスに乗り手を振り娘とさよなら
たった30日だけの事なのに
会いたい娘の傍に
いれない日々を過ごすのは辛い
冷静に、客観的に見ていた はずなのに
娘の予想外の言葉や行動に
ギュィ~ンと娘の目の前に
引きずり込まれ僕は感情を揺さぶられる
空港に向かうバスの中で
今年もまた こんな感情に揺れながら
空港に着く
30日はあっという間に過ぎていく
娘との再開のために日本に戻る
劉さんの両親も慣れたのか
娘がいないので旅行にいき
逆にいい息抜きの機会になっていた
日本に戻った日の夜は
パパが帰って来たという事で
娘も晩御飯を手伝ってハンバーグを
婆ちゃんと一緒に作ってくれていた
久々の娘は嬉しくて
ご飯食べるのを忘れて
色んなお話をしてくれる
晩御飯を食べ終わると
婆ちゃんからプレゼントがあった
9月から始まる小学生にむけて
日本のランドセルを買ってくれていた
娘は日本のランドセルに憧れていたので
大喜びだった
ランドセルを背負って
部屋をずっと一人でウロウロしてる
何度も背負ったり 下ろしたり
ふたをあけたり閉じたり
側面にハートの刺繍があり
直ぐにお気に入りになった
夜、お風呂に入りながら
この30日間に起きた出来事を楽しそうに
まだ話してくれる
お風呂を出て
コンビニで買ったスイーツを食べる時間
楽しみにしていた この時間の過ごし方
今回は会えなくなるという
想いを持って過ごすのではないから
話もはずむ
明日どうする?と娘に聞く
あっ そうだいい場所あるから
明日 いいとこ連れて行ってあげる
と僕は言って寝る事にした
次の日
買い物ついでに少し遠出して
僕が通った小学校に娘をみせようとして
少し遠いが連れて行った
僕は子供の頃 引っ越しをしたので
この小学校に来たのは卒業以来だった
僕もかなり懐かしい
あの頃 広く見えた小学校へ通う道は
今みると狭く感じ
変わらない風景と様変わりした風景
昔友達が住んでたアパートはなくなり
道の脇にある お地蔵さんは変わらずある
僕はこの道の途中で数々のドラマがあった
事を思い出し懐かしかった
そんな事も知らず娘は助手席に座って外をみてる
小学校に着くと
部活の声は聞こえるが
人影は見えない
僕は娘を連れ下駄箱の入り口の前に来て
ガラス越しに中を覗いた
ドアは鍵がかかってなく中に入れた
僕は娘を誘い靴を脱いで廊下に入あがった
ドキドキしつつ懐かしむように
ウロウロ
昔と変わらない雰囲気
中庭があり
それを取り囲むように教室がある
中庭に太陽の陽が注ぎ
廊下を明るく照らす
ぐるりと1周できる廊下を
走りまわっていた頃が懐かしい
階段を登り
音楽室の前を抜け
自分の教室を探す
娘と二人でドキドキしながら
誰もいない学校の中を歩く
教室の前までやってきて
静かに木のドアを開ける
誰もいない教室
当時の面影を残している木の机や椅子
午後の太陽の陽が窓から教室に降りそそぎ
懐かしい木の匂いがする教室
後ろの道具入れには昔と変わらず雑に
色んな荷物が置かれてる
教室の隅にある掃除用具入れ
黒板に書かれた きょうの天気の文字
黒板の上には
ともだちいっぱい やさしさいっぱい
と書いた貼り紙
娘に
ここにパパもいたんだよ
今の君と同じ歳
パパにだってそんな時あったんだよ
1年生になった日
婆ちゃんに連れられ
ドキドキしながらランドセルを背負い
学校へ きたよ
娘はへぇ~と驚いてる
パパもそんなことあったの?という顔
今 僕は
自分が通った小学校に娘を連れてきてる
もうすぐ小学1年生
ドキドキし学校という場所に
緊張と不安が強い娘
静かな教室に立つ二人の周りに
あの頃の僕や友達が走りまわってる
あの頃の僕は 立ち止まり
僕にオジサン誰?その子は?と聞いてくる
僕は幼い自分に
君の友達だから仲良くしてね
と言うと
幼い自分は わかった!と言って
友達とまた走っていった
午後の太陽の日差しが教室にさしこんでる
小学校を出たあと
昔住んでた家を見に行った
小学校時代を過ごした家
色んな思い出がつまった家だった
夜 婆ちゃんに
小学校に行った話をした
婆ちゃんも懐かしがり
よくそんなところに行ったね~と
僕は見せたかったんだ
パパの小学校だよ!って
きっと娘には今日行った場所が
どこにあるかもわからないだろうけど
パパと一緒に小学校に来た!と
記憶の片隅で思い出してくれたら
それでいい
どちらかと言えば
娘の為というより僕の為だった
今の僕が あの頃の僕に伝えたかった
こんな愛しい子と君は暮らしてるよ
仲良くしてね と
娘と二人で小学校に潜入した日。
上海に戻っても毎日ランドセルを背負い
学校に行く真似をして遊んでる
寝る時もベッドの横にランドセルを
置いて寝る
娘が寝てから僕は
ランドセルの中を覗いてみた
中には ぬいぐるみが
たくさんつまっていた
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