新人先生伴走物語③「 『学習者中心の学び』に向かう」
昨年6月に東京九段下で開かれた「教育長・校長プラットフォーム総会」に参加しました。
たくさんの学びと出会いを得た経験でした。
分科会では「学習者中心の学びを”組織”として実装するために~ 教育委員会と学校の立場から考える実践の進め方~」に出席しました。
教育委員会と学校のタッグで実装された単元内自由進度学習の実践の中で、自分で学びのハンドルを握った子どもたちの姿に、すっかり心を奪われてしまいました。総会終了後も中谷校長先生と広島県教委の主任指導主事の村田さんは、私のしつこい質問に大変熱心にお答えくださいました。
○自由進度学習という形ではなく、大切なのはマインドである。
○プリントを2枚渡して、どちらをやってもいい、ということからでも始
められる。
○指導書を子どもに渡してしまえばいい。
など、貴重なご示唆をいただきました。
学び方が選べる教室「GRIT」
当時、校長を務めていた学校に帰ると早速、若い数学の先生に相談しました。すると、その先生は、使われていないコンピュータ室を、自由進度学習をしやすい教室に手作りで改装し、自由進度学習にチャレンジしてくれました。その先生には、横浜創英を視察してもらったばかりでした。
新人先生たちも目指している、学習者中心の学び
私が担当している先生たちとの1on1の対話の中で、新人先生たちも、それぞれ言い方は違うものの、理想の授業として、子どもたちが自分で進んで学ぶ姿が浮かび上がってきます。
理想と現実は違うもの。
思うようにならずに悩むことはあるけれど、バイアスに囚われた意見に惑わされることなく、理想を求める姿勢は持ち続けてくれることを切に願うばかりです。
学習者中心の学びへ、子どもたちが教えてくれたこと
先日のことです。
担当している一人の新人先生と授業研究を行いました。
算数の授業では、予定していた学習内容をすでに終え、次の授業はおさらいのプリント学習をする予定だが、どうすれば子どもたちがしっかり取り組めるか考えたいとのことでした。
彼女の願いは、子どもたちが授業の主役になって、自分で学びに向かうこと。
去年、中谷校長先生と村田主任指導主事にいただいたことをもとにしながら二人で考えたのは、プリントを複数枚用意して、自分で選んで学習する方法でした。
当日、新人先生は6枚のプリントを用意、どれをやってもいい、やり方も教科書を見てもいいしノートを見ても良くて、なるべく枚数やスピードを他の子どもと競うことのないように配慮されていました。
授業後、先生は「自分で選ぶだけなのに、こんなに一生懸命やるとは、びっくりしました。」とのこと。子どもは、そもそも有能な学び手であるのだ、ということを私も改めて感じました。
学習者中心の学び。
大上段に構えなくとも、案外、答えはこんなところにもあるのかもしれません。