若手こそ手数で勝負しよう
先日、VJ概論 | AFTER HOURS vol.05にゲストとして呼んでいただいた。
頭を整理するためにも事前にテキストにまとめていたので、その内容をアップデートして、noteにも記しておこうと思う。
* 主に、"これから映像演出に携わりたい"という方に向けた記事になります。
自己紹介
twistcube という名前で活動している川村です。
デジタルエージェンシーでテクノロジーを活用した企画、デザイン、開発を行っています。
Visualist / Media Artistとしても活動を行なっていて、ライブイベントやメディアアート等にて作品を発表しています。
これらの活動の中で得たノウハウを元に、イベントへの登壇、タワーレコードが運営するタワーアカデミー、TDSW、Schoo等での講師も担当しています。
どんな所でVJをやってるか
企業イベントや、オーディオビジュアルイベントがメインです。日中は会社勤めしているので、夜のクラブではやってません。
VJを始めたキッカケ
BRDGチャネル、MUTEKを見て、音とビジュアルのシナジーに感動し、いつか自分もやってみたいと思った。とはいえ、その時はまだopenFrameworksを触っていて、表現するには技術的な面で壁があり、実際にVJを始めるまでは半年程度間があった。
どうやってVJになったか?
2年前にTouchDesignerのハッカソンで初めて演出をした。以降、演出の楽しさに目覚め、定期的に映像を発信するようになり、イベントの話をもらったり、時には自主開催したりするようになった。
VJとしての転機はBRDGチャネルとテクノ法要に出会ったこと。
BRDGでは、エッジのあるメンバーの中での演出という点で表現が磨かれ、テクノ法要では、"若者の宗教離れをテクノロジーで解決"という課題解決をVJとして実施できていることに他のジャンルにも通用する可能性を感じている。
なんで講師をやってるの?
人に教えるためには単に使えるレベルではだめで、ちゃんと理解した上で説明できるレベルになっておく必要があり、なんとなくでは通用しない。
つまり、教えるためには、自分自身がその倍学ぶ必要があるので、その緊張感が創作活動の良い刺激になっている。
自分の場合、予定が無いとサボってしまうので、予めやらなきゃいけない状態に身を置かせて、結果、それをクリアしていくことが楽しい。講師活動は創作活動とは違った緊張感があって、今後も継続していくつもり。
VJになるためには?
当然、黙っていたら話なんて来ない。まず、意思を表明して、VJ界隈の人と知り合い、情報交換していくのが良い。
同時に、自分ができることを示す必要がある。SNSなら無料で映像をアップできるし、国境を越えてダイレクトに反響をもらえるので、ガンガン作ってアップしていくのが良い。
よく、最初から完璧を求めようとする人を見かけるが、最初から完璧な人なんていない。今の自分の実力の範囲内で最大のアウトプットを捻出する事に価値があり、その結果として腕が磨かれていく。完璧になってから発表しようとすると、途中で挫けてしまう。出していくことでフィードバックがあるし、自分自身の気づきにもなる。出来ない自分を受け入れる勇気を持ち、チャレンジしていく姿勢が何より大切だと思う。
凄腕のVJはいつも作っている。スゴイから作ってるのでは無くて、作っているから凄くなってるという点がポイント。
今は、ネットにチュートリアルが沢山転がっているし、日本語の書籍もある。また、リアルの場での勉強会も増えているので、積極的に参加し、とにかく手を動かすべき。
若手こそ手数で勝負した方が良い。
今のVJの盛り上がりについて
2018年から空気が変わったように感じている。
これまで、クラブVJとジェネ系のVJには結構な境界があったように感じていたものの、Adirectorチャネル以降、プレイヤーがゴチャ混ぜになり、化学反応が起こった感がある。
また、ビジュアルプログラミング環境のTouchDesignerの普及も、その大きな要因だと思う。開発にあたり、プログラミング言語と向き合う必要が無いことから、いままで開発に抵抗があったVJにも受け入れられたし、開発者にとっても、ビジュアル方面を学ぶ良い機会になっているのではないだろうか。
VJの可能性とは
VJというと、クラブというイメージを持たれる方が多いと思う。僕みたいに、クラブとは縁のないVJもいるので、今、VJの領域は多様化が進んでいるように感じている。
直近では、2020年から始まる5Gが大きなインパクトになるはず。5Gは4Gと比較して10~1000倍速くなると期待されていて、仮に4Gの10倍速いとすると、4Gでは6分要した8Kの動画のダウンロードが、30秒程度で完了する。
今まで動画が難しかった領域にも、今後、映像が当たり前になっていくはずで、ライブやステージ演出はもちろん、PV制作、VR、インスタレーション、データのビジュアライゼーション、課題解決等、ビジュアルを活かせる領域はさらに拡張していくのは間違いない。
VJとしてのビジネスの世界が今後広がっていく未来が見えて、非常にワクワクしています。
Photo by Kenta Umeda
Photo by Amauri Mejía on Unsplash