市議会議員が取組む『さくらねこTNR活動の推進』について
銚子市議会議員の池田けんいちです。今回、『TNR活動』をされているボランティアの市民の皆さんから要望を受け令和5年12月定例会で一般質問をしました。
銚子市には野良猫に対しても飼い猫に対しても助成制度が有りません。またボランティアの皆さんが、身銭を切って野良猫のさくらねこ活動を推進している。この現状を市民の皆さんに、また市執行部にも知っていただき不幸な猫を減らす活動の重要性を理解して貰いたいと思います。
執行部とのやり取りを下記に書き起こしましたので是非ご一読ください。
動画をご覧になりたい方は下記URLからジャンプしてください。
https://www.youtube.com/live/euJTQq1MByI?si=fi8wmMxHM3ZNje5v&t=5995
『市民からの要望について』質問いたします。
『さくらねこ活動について』です。
これまで何度か市民の方々より野良猫に関するご相談を受けました。「庭への野良猫の糞尿に困っている」「道路に轢かれてしまった猫がいる」「野良猫に車の上に乗られて困っている」「近所で野良の子猫が繰り返し生まれてしまって困っている」など内容は様々です。飼い主のいない猫は、もともとは飼い猫が捨てられたものや、かわいそうだから、自然に逆らうからと不妊去勢手術をせずに外に出して飼われている猫が繁殖したものです。「猫を捕獲し、殺処分すればいい」との意見が中には見受けられますが、それはひと昔前の話です。猫は「動物の愛護及び管理に関する法律」によって愛護動物とされており、みだりに殺したり傷つけたりすることは禁じられています。動物保護センターでも以前のように殺処分を目的とした捕獲や収容はしていません。また動物の愛護及び管理に関する法律により、愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者は5年以下の懲役または500万円以下の罰金。愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。しかしながら銚子市内では「仔猫が産まれたから、海に投げている」「君ヶ浜の駐車場に捨てに行く」という行為が行われていると聞いています。実際、私も2ヶ月前に市内の公園で段ボールに捨てられている仔猫3匹を保護しました。生まれて間もなく前脚だけで張って歩く姿に心が痛みました。
飼い主のいない猫の問題を解決するには、不妊去勢手術を行うなど適正な管理を行い「地域猫」として地域で世話をするなど、人が猫と共生していけるよう努める必要があります。マナーを守らない身勝手な餌やりをする方にはトイレの世話も組み込んだ今の時代に沿った 指導を行うなど、銚子市民と飼い主のいない猫との共生を目指す必要が有ります。それが先に述べた野良猫の問題を解決して行く事に繋がります。飼い主のいない猫に餌を与えることは、決して悪いことではありません。しかし、ただ餌を与えるだけで不妊去勢手術をしなければ仔猫が産まれ、飼い主のいない猫が増え続けます。
更に猫の妊娠期間は約2ヶ月と大変短い上に、一度の出産で平均5頭出産すると言われています。また生まれた仔猫も生後4ヶ月程で繁殖可能な年齢になる事、母猫は授乳している最中にも次の妊娠が可能になります。環境省の計算によると1頭のメス猫から1年後には20頭以上、2年後には80頭以上、3年後には2000頭以上に増えると試算しています。
大切な命を守り、不幸な命を減らすためには、飼い猫も野良猫も適正に管理しなければなりません。猫を排除するのではなく、命あるものとして見守るという事が大変重要です。「地域猫」活動は、猫の為の活動ではなく、銚子市民が暮らしやすい地域社会をつくり、銚子の町をきれいにするための活動でもあります。
「餌やりをする人」「猫が苦手で地域猫活動に賛同しない人」「全く興味のない人」理解しなければならないのは、この活動は猫好きの人や猫のためだけの活動ではなく、野良猫によるトラブルを減らすことを目的とした、そこに住む人たちのための活動である事。そこをまず銚子市が充分に理解し市民やボランティアと協働することが大変重要であると考えます。
先日、銚子市内で、いながき動物病院の皆さんと市内ボランティアの方々で野良猫の不妊去勢手術を行うという事で見学に行って来ました。いながき先生は毎月1度、埼玉県からスタッフの方々を連れて銚子へお越し頂いています。
私が見学に行かせていただいた時の写真をご覧ください。当日は合計93匹の猫の不妊去勢手術をされました。一頭でも不幸な猫を減らしたいという一心で皆さんが活動されていました。このような手術が毎月、銚子市内で行われていることを皆さんご存知でしたでしょうか?正直、自分はかなりの衝撃を受けました。猫を連れて来られる皆さんは市に助成がない為、身銭を切って野良猫の不妊去勢手術を行なっています。ここで他市と同様に、今、手を打たなければなりません。銚子市の人口は減少するが、猫の数は確実に増加して行きます。またボランティア活動をされている方々が将来に渡ってこの活動を継続して行けるという保証はありません。一昨年6月からスタートした「いながき動物病院」とボランティアの皆さんの活動により11月時点で合計801匹の野良猫の不妊去勢手術を行いました。801匹の野良猫の手術という事は、単純に環境省の提言を鑑みると。1年間で16,020頭。2年間で64,080頭、実に3年間で1,602,000頭の不幸な猫を減らす活動に繋がっています。これだけの活動を、行政だけの力で出来ますか?これまで通り、自然に任せるという無責任な事で良いのでしょうか?ボランティアの皆さんの実費に頼ったこの活動、行政で力になれることは無いのでしょうか?
そこで公益財団法人どうぶつ基金が推進するさくらねこTNRという活動に行政枠というものがあります。銚子市の財政負担はなく、利用する事が出来る制度の上、手続きも容易です。
どうぶつ基金が2005年から動物愛護事業の基軸として行っている「さくらねこ無料不妊手術事業」は「飼い主のいない猫」に対し、さくらねこTNR 「Trap捕獲し」「Neuter不妊去勢手術を行い」「Return元の場所に戻す」。また手術をした印として耳先をさくらの花びらのようにV字にカットをします。これを実施することで繁殖を防止し「地域の猫」「さくらねこ」として一代限りの命を全うさせ「飼い主のいない猫」に関わる苦情を減らす事に繋がる活動です。
従来型の地域猫活動では、話し合いをしている間に猫の頭数が倍増してしまい、当初の予算では実施できなくなってしまうケースや、漁港や公園や大学など、いわゆる“地域”が無いケースが多くあること。それらを鑑み、どうぶつ基金では「TNR先行型地域猫活動 」の推進を行い、広義の地域猫活動等の活動支援を行っており全国で1,718市町村、全体の約4分の1にのぼる471市町村が利用しています。
どうぶつ基金の行政枠への申請は、経済的に困窮していて他に打つ手がない場合や、多数の猫の不妊手術の実施が必要な場合の解決の一手となります。
また市内で多頭飼育崩壊が起きた場合、事前にこの行政枠に登録が済んでいないと多頭飼育崩壊枠として、制度を利用することが出来ません。実際に多頭飼育崩壊が起きてからでは遅いのです。また千葉県に指示を仰いでも、その手を打つ間にも猫は増え続けます。次に千葉県内市町村の単独助成、さくらねこ基金導入の有無の表をご覧ください。
茨城県側の近隣市では潮来市、鹿嶋市、神栖市、鉾田市、稲敷市、が加入し、千葉県内では54市町村の内21市町村が登録をしています。また未登録の旭市や香取市、東庄町、匝瑳市では市独自の助成金を設けています。現在、銚子市には猫に対する助成金制度は何も有りません。千葉県内52市町村のうち単独での助成もさくらねこ基金にも加入していないのは銚子市を含め8市7町です。
次に資料イヌ・ネコの回収件数一覧の表をご覧ください。
近隣市のイヌ・ネコの死骸の回収件数を記した物です。令和5年度は10月末時点での数字ですので令和3年度4年度で比較します。市単独の助成金とさくらねこ基金行政枠のある神栖市は令和3年度6件、令和4年度2件。対して銚子市は令和3年度491件、令和4年度536件。
また市単独の助成金のある旭市は300件はある物の、匝瑳市、香取市はいずれも120件から180件の間に収まっています。銚子市と旭市の共通項としては港がある為、餌が豊富だという事でしょうか。川口や外川は野良猫が多いのはそのせいかも知れません。ご覧の通り何の助成金も無い銚子市だけが突出してネコの道路上での死亡件数が多いことが分かります。他市と比較しても、これだけ多くの猫が年間、市内の道路で亡くなっているということは無視できない事実です。自然に任せ増え続ける猫を放置。注意喚起しても是正されない今の状況で、車で轢かれる猫の数は増え続けます。そこで今後の銚子市の対応について質問いたします。
銚子市に寄せられる飼い主のいない猫への苦情等の問題に対して解決するには銚子市としてどうあるべきと考えているのか伺います。
現状は夜中の鳴き声、糞尿、車や住居を傷つけるという苦情が月に2件程度寄せられている。野良猫問題は海匝保健所が相談窓口になっている。市は猫の適正飼養に関する広報活動のほか、保健所の指導・助言の際、求めに応じて現地同行など保健所との連携に努めている。
苦情の主な内容は『無責任な餌やり』『野良猫の繁殖、糞尿や置き餌の悪臭』など環境衛生の悪化に関するものである。課としては、地域で動物との共生が図られるよう、市広報誌や町内回覧を通じて、動物が命をまっとうするまで適切に飼養する終生飼養や屋内外不妊去勢手術に理解を求め、周知啓発を図って来た所です。令和6年4月から希望する市民を対象とした猫よけ機の貸し出し、適正飼養に関する町内回覧等を改めて行う予定です。
銚子市に助成制度が無いためボランティアが身銭を切って活動し、猫への苦情や市民への啓発活動を担っているこの現状をどう考えますか?
近隣の旭市、匝瑳市、神栖市いずれの市も、飼い犬や飼い猫の不妊去勢手術に一頭あたりの上限を3,000円〜5,000円とする補助制度実施している。銚子市においても、平成25年度から平成27年度までの3年間、飼い犬や飼い猫の不妊去勢手術に対し一頭あたりの上限を4,000円とする補助制度を試験的に実施をした。現在は運用を終了している。
市内での個人の方が行なっている飼い主のいない猫に対する活動については、さくら猫活動を含み、野良猫を増やさないという点について地域の要望に適ったものとして非常にありがたく思っている。市の方でも広報活動については引き続き行っていく予定です。
近隣市と同様に独自の助成を行う事や、銚子市の財政負担が無いどうぶつ基金が推進するさくらねこTNRの行政枠を申請する事について、市はどう考えているのか伺います。
本市における野良猫の増加抑制における基本的な考え方は、飼い主に対する室内外の推奨や、捨て猫の禁止といった適正飼養の周知啓発と野良猫の里親への斡旋を優先すべきものとし、人為的な数量調整とも取れる野良猫の不妊去勢手術の推進については慎重であるべきと考えている。野良猫に対する不妊去勢手術の推進は、地域における野良猫問題を解決するための試みの一つではありますが、視点によっては動物愛護と自然保護にそぐわないとする意見もある。誤って飼い猫を捕獲してしまうことも懸念される。公益財団法人動物基金が行うさくらねこ無料不妊手術事業の行政枠においては、申請者である自治体が、手術を要する猫の特定から手術後の確認まで、現場確認や同基金への写真提出を含む証拠書類の提出が必要となり、無料チケットについても申請分より利用が少なかった分については返還しなければならないなど、運用は厳格なものとなっている。現状で同基金が行う行政枠の利用は考えていないが、地域の協力を得て、地域住民の認知と同意を得た地域猫の活動に取り組む団体が設置されたときは、この制度や同じく地域猫を対象としている県補助金の活用を検討していきたいと考えている。
平成25年度から平成27年度までは4,000円の補助があったということですが、補助を始めたきっかけと、終わってしまった理由をお聞きしたい。
当該補助制度については、犬及び猫の不妊去勢手術の実施を促進し、犬及び猫がみだりに繁殖して野犬及び野良猫が増加することを防止し、以って市の環境衛生の向上を図ることを目的として、平成25年度から平成27年度までの3年間試験的に実施したものである。実施した結果、一つの目的である犬及び猫の不妊去勢手術の実施の促進については、補助実績が犬猫合わせて平成25年度で92件、平成26年度86件、平成27年度85件で、少なく横ばいであった。
また、二つ目の目的である犬及び猫がみだりに繁殖して野犬及び野良猫が増加することを防止し以って市の環境衛生の向上を図ることについても、実施前後での頭数の把握が困難であったことと、衛生状態の改善についても明確な効果を認めるには至らず、平成28年度以降の制度継続には至らなかった。
現在では1ヶ月に1度の手術で93頭施術を行っている。以前の約1年分の数字です。1度試験的であったとしても助成制度を設けていたのであれば、その当時に頭数の削減の議論はなされなかったのかお聞きします。
明確に制度の効果検証は行なっていない。平成27年度の段階で、この制度の継続は効果が認められないので打ち切りとなりました。ただ、あくまでもこの制度は飼い猫もしくは飼い犬に対する補助制度であり、さくらねこ活動の対象である野良猫を含めた不妊去勢手術の実施では有りませんでした。
現状、市内では、不妊去勢手術をしたい飼い猫の補助制度を設けることについて市長の見解を伺いたい。
事業仕分けの根本的な考え方に基づき、猫を飼う方は手術の費用も含めて自己責任、飼うための必要経費として個人負担をしてもらうべきと考えている。猫を飼っていない方との平等性との兼ね合いもあり、飼い猫に対する助成については、慎重であるべきとも考えている。近隣市との比較はあるかもしれないが、猫を飼うということは、覚悟と費用負担をもって飼うべきという考えに基づき、助成は行なっていない。
苦情が来ていることに対しての対応としては回覧板での啓発、猫よけ機を使っていくということだったが、猫よけ機は基本的には数が減るものではない。餌やりについても、回覧板による啓発でどれほどの効果があるのか、検証はどのように行われているのか。
猫よけ機の貸し出しについては来年度から導入の予定。猫よけ機は、敷地内に猫を入らせないような効果が認められる場合があるとのことで試験的に実施をする運びとなった。猫の被害に関しては、室内飼いの推奨や、飼い猫に対する不妊去勢手術の奨励など広報活動をしてきたが、残念ながら効果については明確な指標はない。
他市においても千葉県内52市町村中何もしていないのが15自治体、その他はすでに取り組んでいる問題です。野良猫に対する問題を他市がこれほど行なっているということは、議論をすでに終えた上での導入であると考えるが、銚子市では議論がなされているのでしょうか。
具体的に議論をしたわけではない。さくらねこ活動において、野良猫に対する不妊去勢手術の推進というのは、地域における野良猫問題を解決する試みの一つではあるが、視点によっては動物愛護と自然保護にそぐわないとする意見もある。誤って飼い猫を捕獲してしまうことも懸念される。それらの問題がある中で、市として全面的に協力するという態度は今の段階では取れない。
他市の状況もあるので、飼い猫を捕獲してしまったなどの問題を回避するための他市との意見交換をしてもらうことはできるのでしょうか?
さくらねこの無料不妊去勢手術事業を利用している他団体について、取り組み内容とその成果について調査研究をしていきたいと考える。
神栖市にさくらねこTNRの手続きの方法をお聞きしました。神栖市では個人の申請を受け付けています。その上で、区長、銚子で言えば町内会長に了解を貰えれば地域ネコの扱いとなります。その申請で不幸な野良猫の数を減らせます。飼い主のいない猫にまつわる問題の多くは野良猫への軽はずみな餌やりにより、不妊去勢していない猫が仔猫を生んで爆発的に増え続けることに起因しています。このような餌やりは一時的に指導をして禁じても、実際は続いていることがほとんどです。また仮に餌やりがなくなっても、一度そこが縄張りとなった猫の多くは出されたゴミを荒らしたり、虫などを食べてそのままそのエリア内に暮らし続けます。仮に猫の餌やりをするのならば、トイレの世話、そして必ず「不妊去勢手術」を実施するという、適正管理に努めることを基本とする事で、野良猫による生活被害の軽減、また住民の生き物への意識向上を含む、地域の理解を得ることに取り組んで頂きたい。そして財政的な負担が一切無いさくらねこTNRの行政枠に申請して頂きたい。改めて市長の考え方を伺います。
動物愛護と自然保護にそぐわないとする点をどうクリアするかが問題と考える。他市・自治体はどのようにクリアしているのか、クリアせずとも行なっているのか改めて検証し、動物愛護と自然保護にそぐわないとする点に対して銚子市がきちんとした理論的な根拠をもって提示をできれば提案を進めることが可能になると考えている。猫がこのまま増え続けることは地域にとってもいいことではないので、餌やりを禁止するだけでは効果がなかなか出ない現状を踏まえて、現実的な対応と根本的な理念の問題をどうクリアするのかという面と、少数の意見も大事にしなければならない側面もある中で、いろんな事例を研究させていただきながら、動物愛護と自然保護にそぐわないとする点をどうクリアしていくのかを研究させていただきたいと考えている。
以上が、今回の12月定例会で質問した内容です。今後も『さくらねこTNR活動』に積極的に取り組んでまいります。またこちらで続報を書き綴って行きますので宜しくお願いいたいます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?