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熊谷知事のお知らせ『石川県庁訪問』

19日は各種政策協議、来賓対応などを行いつつ、夜に北陸新幹線で石川県に入り、金沢市で宿泊。翌日、早朝に石川県庁を訪問し、馳知事と面会し、復旧復興の状況、今後の支援ニーズ、初動からの振り返りと教訓、迅速な被災地域支援のための制度見直しの必要性などについて伺いました。

・1.5次避難の活用によって災害関連死の抑制に効果が出ている。高齢者や配慮を要する人を保健師や医療・福祉スタッフを配置した1.5次避難所でトリアージし、宿泊施設の2次避難所や医療機関などに繋げている。

⇒千葉県も金沢市に開設された1.5次避難所の立ち上げに保健師等の職員を派遣して支援してきました。従来は支援を要する人は福祉避難所などを活用する体制が各自治体で整えられてきましたが、大規模災害時に福祉避難所に一般の避難者が大量に避難し、福祉避難所が機能しない課題も散見されています。石川県の取組を参考に、2次避難所、1.5次避難所をどのような災害レベルで検討するか、事前に整理をしておく必要があると考えています。

・災害時の通信時にスターリンクが活躍した。通信の確保が重要

⇒令和元年房総半島台風で大規模停電を経験した千葉としては非常に理解します。メディアでは報道されませんが、北海道の大規模停電、千葉県の大規模停電を経験し、通信会社は携帯基地局の非常電源を長期間持つように設備投資するなどを行ってきています

・避難所運営を地域が運営することが重要。職員が運営すれば職員が疲弊する

⇒これは私が東日本大震災で東北の避難所を訪問した際に実感したことです。一定期間経過すると避難者がお客さんになり、様々な不満を公務員にぶつけるようになります。職員の疲弊につながることと、そもそも災害時には一人でも多くの職員が本庁で対応することが望まれることから、早い段階で避難所を地域コミュニティが自主的に運営することが望ましいですし、結果的に避難所の環境改善にもつながります。

千葉市はこの教訓を受けて避難所運営委員会制度をスタートし、事前に避難所の役割毎に自治会等の地域コミュニティが担当する形を取っています。県も市町村に示す避難所マニュアル等で同趣旨を記載していますが、改めて市町村(特に幹部レベル)がどのように避難所運営を意識・理解しているか、確認が必要と感じました。

・倒壊した家屋を公費解体する場合に、同意を取ることに苦労している。相続が適正に整理されてこなかった結果、100人以上に及ぶ権利者がいたり、主たる権利者が海外に住んでいるケースなどもあり、全ての同意を得ることが困難。そのままだと隣家に危険が及ぶケースもある。民法の改正が必要ではないかと国に訴えている。過半数の同意、主たる権利者の同意など、一定条件で速やかに公費解体ができるようにすべき

⇒これは全国共通の課題です。環境省の公費解体制度がここまで使い勝手がよくなり、広く被災地で活用されるのは令和元年房総半島台風頃からです。国の制度見直し、地方自治体側の決断などが求められます。

・安否不明者の情報を元に携帯会社が「発災直後にその人がどの場所に居たか」、その位置情報を警察・消防・自衛隊に提供し、捜索・救助が効率化された。今後はスマートメーターの設置などデジタルライフライン化をさらに進め、どの場所にどのような状況の住民がいるのか、把握できる社会づくりが求められる

⇒重要な視点です。特に能登半島の復興の際にはモデル的にそうした地域を作ることは、日常の福祉の充実にも資するものがありますので、政府においてビジョンを持って進めることが求められます

・マイナンバーカードの取得率を向上させるべき。能登の一部地域は被災の有無に関わらず義援金の支給対象としたが、全員に支給するのに時間を要してしまうし、給付事務に被災地職員の稼働が取られる。マイナンバーカードと公金口座の連動が仮に100%であれば速やかな給付と、職員稼働の軽減が図られる

⇒以前よりマイナンバーカードの重要性が指摘されてきました。災害とデジタルというのは非常に親和性があり、緊急かつ正確な支援を行うためにマイナンバーカードも含め、デジタル化をどう進めていくか、国民的な議論が必要ですね。

・上下水道と農業集落排水の一体的な復旧が必要。どちらも甚大な被害を受けているが、国交省と農水省で国の行政も分かれているし、市町村においても別々の部署が担当していることが多く、復旧に当たって課題が多い。

⇒これは市長・知事を経験している人間として非常に理解できます。

私は千葉市長時代、まず下水道局と上水道を管理する建設局との統合を行い、東日本大震災の際に一体的に速やかに水道管と下水道管の復旧を行うことができました。さらにその後、経済農政局が所管していた農業集落排水事業を建設局に移管させたことで大きな統合効果が得られました。下水道を管理するプロの集団が農業集落排水の設備状況を一体的に見ることで、効率的な配管等の統廃合、さらに下水道への接続によって農業集落排水単独の処理場の廃止等を進めるなどして、大きな経営効果を出しています。もちろん、災害時の復旧においても一体的に行うことによって効果を発揮します。

千葉市は私が強くこだわって何年もかけて実現させましたが、市町村によっては統合されていない自治体があると思われますので、状況を確認し、統合を促していきたいと思います。

他にも様々な示唆に富む意見交換ができました。また、馳知事からは延べ1,100人を超える千葉県からの職員派遣にもお礼の言葉を頂きました。

祝日、また早い時間にも関わらず対応頂いた馳知事、石川県庁の皆さまに感謝します。被災地のいち早い復旧復興を心より願うとともに、引き続き職員派遣などを通じて支援していきます。

馳知事との面会後に、のと里山海道を通って珠洲市に向かいました。

のと里山海道は金沢と能登半島とを直結する自動車専用道路で、まさに生命線です。地震によって大きな損害を受けましたが、関係者の必死の復旧によって3/15から金沢⇒輪島方面の片側通行が全線で可能となりました。関係者のご努力に心から敬意を表します。

ただ、走行中、大きな崩落現場が想像以上の個所数で存在し、 両側通行が可能になるまで相当期間が必要と感じました。この大動脈が機能するまでは一般ボランティア等が自由に大量に入るのはなかなか難しいのではないかと推察します。

珠洲市に入り、災害廃棄物仮置場を視察。最近設置された3か所目の仮置き場です。大規模災害時は災害廃棄物の分別・処理を適正に行うことが重要です。

既に膨大な量の災害廃棄物が出ていますが、今後、被害家屋の解体が進めば、さらに量は増えます。自治体の処理能力を超えており、広域処理に伴い、やはり奥能登から金沢・富山方面との交通量が増えると見込まれます。

近隣にはトレーラーハウス、キャンピングカーの集積場所がありました。千葉県職員も含めて、全国から復旧支援等で駆けつけた人達の宿泊場所となっています。

私も発災直後から国会議員等にトレーラーハウスを活用するよう伝えてきましたが、奥能登には宿泊施設が少なく、また水道等も復旧していない事情があり、拠点が圧倒的に不足しています。そのため、トレーラーハウスやキャンピングカーが不可欠な状況です。

その後、正院小学校グラウンドに建設された応急仮設住宅を視察。珠洲市で最初に建設された仮設住宅で、早い時期に派遣した千葉県の技術職員が設計等を支援しました。

まだ水道が復旧していないため、貯水槽と合併浄化槽を活用しています。

既存賃貸住宅を活用する「みなし仮設」も含め、災害の状況に応じて柔軟に被災地住宅政策を構築することが重要です。

とにかくこの日は寒く、風も強く、雨も降っており、大変厳しい環境でした。続きはまた後日まとめます。

※転載に当たっては熊谷知事の許可を得ています。

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