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通貨価値の下落速度に対して、賃金上昇が全く追い付いていない
春闘にて多くの景気の良い大企業にて、満額回答が出されている。
さすが官製春闘、その効果が出ているように感じる。
これによってベースアップが行われて、少し家計が楽になると喜びを感じている人もいるに違いない。
中小企業でも徐々に給料は上がりつつあるところも多い。
企業の経営側としてはつらいところもあるかもしれないが、多くの労働者側としては給与アップは待ち望んでいたこと。
インフレが落ち着かないからこそ、やっとという思い。
ただ、実際のところはどうなのだろうか。
名目賃金が上がっていることに対して、実質賃金はマイナスが連続21か月続いていた。
それにより実質の購買力が下がり、買う側も売る側もますます苦しくなっていた。
それまでのマイナス分を補填するという意味で、ベースアップでやっと取り戻すチャンスが来たと考えるのが正直なところ。
今までのマイナス分がしっかりと補填されなければ、本当の意味で賃金は上がったとは言えないような気がする。
正直なところ、ベースアップしてよかったねと喜んでいる場合ではない。
さらによろしくないことに、通貨価値が大幅に下がっている。
数字としては同じ1万円であったとしても、買えるものが少なくなっているというもの。
インフレによる物価が上がっているというのもあるが、ドル為替や金などを考えるとますます見えることがある。
ドルに対して、3/21の現状は151円近いというかなりの円安状態。
海外からの旅行客や資産としてドルを沢山持っている人にとっては、とても幸せな状況かもしれない。
以前の円が強かった時に日本から東南アジアに遊びに行くときは豪遊できたが、その状態とは真逆の状態が生じている。
ドルを持っているだけで何もしていなくても、勝手に資産が増えていくように感じるのは、なんだかとてもずるいように感じてしまう。
しかしながら日本人の多くは円で給料をもらっていて、実質的な価値は大幅に下がっている。
買い物するにも海外からの品物はいつも以上に高くなり、手が全く出ない域に達している。
日本円を持つことが大きなリスクになっている。
ドルを基準にする段階でかなり悲惨だが、さらに悲惨なのは金を基準にした場合。
金は昔から本質的に同じものであり、価値が一番固定されているもの。
そういう意味では、最も基準になりやすいものであると感じる。
その金の価格はどうなのか。
現在3/21に大幅に伸びてなんと「1g=約11800円!」という展開。
円安の影響がさらに金の価格を後押しして大幅に上がり、このような状態になっている。
少し前までは1g=4000円くらいのイメージだったのが、10年経たない間に3倍近く、ここまで価値が変わってしまうことにかなりの驚きを感じる。
逆のことで言うと、円の価値が10年前と比べて1/3になってしまったということ。
100万円持っていた人にとって、もし現金で放置していたのなら、今のその価値は当時の33.3万円だということ。
逆に借金が1000万円あった人にとっては、その借金が333万円に小さくなったという事。
信じられないくらいの圧縮度合い。
春闘の結果として、給料がベースアップで10000円増えたとしても、実質の価値は3333円。
それ以上に通常にもらっている給与が1/3になったことの方が影響が大きい。
手取り30万円の人は、当時の実質手取り10万円に。
人によってはそれは新人の時の給与よりも大幅に安い状況といってもいいのかもしれない。
まさに安売り状態の中で労働者が働いているという状態。
なんと悲しいことではないか・・・
気が付く人は既に準備をして、この状況をうまく乗り切っているに違いない。
一方で何も準備できていない人や認識できていない人は、気が付かぬ間に大きく資産を失っている。
そういう意味で、まずは気が付くことが出来るというのはとても大切なこと。
ドル資産や株・金を持っていたりなど、元々リスクに備えて準備していた人は、今は幸いなことに助かっているかもしれない。
ただ、今助かったとしても将来的にさらなる変化がやってきたときに助からなくなってしまう可能性も十分にある。
だからこそ、今からでも状況に応じて常に準備をしておくのは大切であるように感じる。
今後の資産価値はどこまで変化していくのだろうか。
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ありがとうございました。