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『インテリ悪口ハンドブック(仮題)』の試作品【先行公開または幻のボツ企画公開】

新宿の繁華街、商業ビルの地下1階にさりげなく存在する隠れ家的なレストラン。革張りのソファは鈍い光沢を放ち、妙に木目がはっきりしたウッディなテーブルに銀色の食器が整然と並んでいる。自分では選ばない店だな、と思った。

ここに来た目的は、某出版社の編集者の方に会うことだった。

ネットで僕のことを知ってくれていたというその編集者は、お店に着くやいなや、「何かユルく話して、良い企画でも生まれたら本にしましょう!」と言ってくれた。


僕はかねてから「本を出したい」と思っていたので、これは嬉しい言葉だった。前菜のマリネをつつきながら、やや前のめりに「ぜひ本書きたいです!」と伝えた。メインディッシュを待たずに、メインの話題に突入する。

彼女は「どんな本を書きたいですか?」と言った。

ビールを一息に飲み干してから答える。

「『インテリ悪口ハンドブック』みたいなのが良いですね。いつもポケットに入れておいて、誰かにイラッとした時に取り出して、ピッタリなインテリ悪口を発見して溜飲を下げることができるハンドブックです」


僕はてっきり「そんなもん要らん」という顔をされると思っていたのだが、彼女は平然としたままだった。「例えばどんな悪口を収録するんですか?」と、更に質問が続く。僕は人を困惑させるのが好きなので少々残念に思いながら、例をいくつか喋った。編集者という人種は困惑しにくいのかもしれない。


いくつか事例を聞いた彼女は、「面白いですね!イケるかもしれません!企画まとめて企画会議に出しますよ!」と乗ってくれた。

で、「とりあえず企画会議用にインテリ悪口を10案ほど出せますか?メモ程度でいいので」ということだったので、「すぐ出します!」と回答して、メモ程度のつもりで書き始めた。

しかし、このマガジンをお読みの方はお分かりの通り、僕は好きなタイプの文章を書き始めると楽しくなってきて再現なく膨らませてしまう病に罹患しているのである。しょうもない地獄パーソンについて書いていると楽しくなって4万文字を越えるとか、そういうことはザラにある。


結局、1万5000文字くらい書いて提出してしまった。「メモ」の定義は明確ではないが、原稿用紙40枚のことをメモとは呼ばない気がする。まだ彼女からのレスポンスはないが、引かれていないことを願うしかない。

というか、メモを書くつもりだったのに最終的には「ここはこの順番にした方が面白いな…」とか「ここで伏線を回収しよう…」とか考え始めてしまった。メモなのに。なぜかメモを面白くしようと頑張ってしまった。「仏作って魂入れず」という言葉があるが、僕はなぜかメモに魂を入れようとしてしまった。我ながら実に不可解な行動である。


さて、そういうワケでせっかく頑張って書いたメモなので、この有料マガジンで公開しようと思う。これは手抜きではない。メモを書くのに時間を取られすぎてしまい有料マガジンを書く時間がなかったとかそういうことではない。断じて。

この本の話はまだまだ企画段階なので進むのかは定かでないのだが、もしかしたら書籍になるかもしれない。

書籍になった場合には本記事は「試作品を先行公開!」ということになるし、ならなかった場合には「幻のボツ企画を公開!」ということになる。どちらになるのかは神のみぞ知るというところだ。


一部、今までの記事からの使い回しもあるのだが、割と楽しんで読んでいただけるのではないかと思う。「これから本になるかもしれない原案」を楽しめる方はぜひ課金して読んで欲しい。あと、うっかり魂を入れてしまったメモが気になる方もぜひどうぞ。

単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。11月は5本更新。いつ入っても今月書かれた記事は全部読めるので、単品購入するよりも3倍オトク。

あと、文字数は1万5000文字より少なく表示されていると思うが、これは数式を使った部分を丸ごと画像で代替しているからだ。noteでは数式は書けないので、数式の嵐が出てくる章を丸ごと画像にしてしまった。


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