「倫理的にヤバいから」ボツになった書籍の原稿公開
光文社から僕の本が出るぞ!というお知らせをした。今年2月の終わりに。
この本、当初は担当編集者と「9月くらいに出そうぜ」と言っていたのだが、全然ムリだった。結局、発売日は12月22日でほぼ決まりになった。3ヶ月遅れ。
理由はいくつかある。
一番大きいのは、DaiGoさんみたいな本を書きたくないし、書いちゃったら皆からめっちゃバカにされそうということだ。
オックスフォードのテーブルクロスを置いてます?
最近、僕はビジネス書を100冊読んで茶化しながら教えをまとめるライブ配信をしている。徳間書店から出す2冊目のための準備として。(色々な書籍の話が同時進行しており、最近は常時パニックである)
ダラダラとビジネス書を読みながら教えをスプレッドシートにまとめていくという作業配信で、正直「誰が見るんだこんなもん」と思いながら始めたのだが、ありがたいことにかなりバズった。2ちゃんまとめブログとかにもまとめてられており、最近はいつもリアルタイムで500人くらいが見ている。人生、何でもやってみるものだ。
バズったきっかけはこれ。DaiGoさんの本『自分を操る超集中力』を読んでいる部分の切り抜き動画である。
この本、めちゃくちゃおもしろかった。
「最近の研究によると○○が分かっています」みたいなことがいっぱい書いてあるのに、参考文献の記載はゼロである。普通は気持ち程度でも巻末に「参考文献リスト」を書くような気がするが、DaiGoさんはそれもしない。
これはすごいことだ。大学でレポートや卒論を書いた経験があれば「参考文献ゼロはさすがにヤバすぎる…!怒られない程度に書いておこう」というムーブをしたくなるのが自然なのに、DaiGoさんはその自然な気持ちを抑え込んでいる。超集中力で自分を操っているのだろう。
「参考文献の記載など要らん!オレが参考文献だ!」という、刹那・F・セイエイばりの気骨あふれる本で、僕は嫌いじゃない。この胆力に終始驚かされた。
(引用元:機動戦士ガンダム00スタンプ)
しかし、この本の面白さはこんなものではない。本のサビはこれ。
「パフォーマンスを発揮するために仕事部屋には余計なものを置かない」という話なのに、なぜか本題と全く関係ない「イギリスのオックスフォードで買ってきたテーブルクロス」の話が出てきて大笑いした。最高の文脈無視イキリである。
コメント欄も大いに沸き、この後しばらくテーブルクロスの話で持ち切りになった。
何なら、この配信が終わって1ヶ月以上経っているが、未だにライブのコメント欄はテーブルクロスの話でいっぱいだ。「イギリス」という言葉がちょっとでも出ようものなら「おっ!?来るか!?オックスフォード??」とみんなが沸き立ってしまう。DaiGoさんが書いたたった一つの文に、我々は一生振り回され続ける。これがメンタリズムなのかもしれない。
……とまあこんな感じで、最近の僕はDaiGoさんの本を茶化すことで人気を獲得する妖怪なのだが、問題が一つある。
もし僕が書いた本に参考文献なしの場所があったら、どうなるだろう?
これはもう、ライブ配信のコメント欄でイジられまくるに決まっている。
「なんかパフォーマンス低くないですか?ちゃんと部屋にオックスフォードのテーブルクロスを置いてます?」「参考文献抜けてませんか?イギリスのオックスフォードで買った方がいいものがあるのでは?」などと言われまくるに決まっている。絶対に嫌だ。
そういうワケで、僕は自分の書籍の校正中に「この記述、いい加減だな…」という場所をゴリゴリ直し始めることになった。DaiGoさんになりたくない一心で。
結果、明治時代の漢字とカタカナのみの裁判記録とか英語論文とかの一次資料を当たらなければいけなくなった。めちゃくちゃめんどくさかった。「インテリ悪口」などというふざけた文章のためになぜこんな苦労をせねばならんのだと嘆く毎日であった。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があるが、「DaiGoをバカにすると資料が増える」のである。これから本を書く予定とDaiGoさんをバカにする予定がある方は注意されたい。
「倫理的にダメだからボツ」
さて、そんなワケで色々手間取りつつも、僕の仕事はほぼ終わった。本文レイアウトも決まり、あとは予約開始と発売を待つばかりである。(予約開始は11月の頭ぐらいになる見込みだ。初動で売れ行きが決まるので、皆さんぜひ予約して買ってくださいませ)
光文社の担当編集者は非常に寛容だったので、基本的に自由にやらせてもらったのだが、「これは倫理的にダメなのでボツ」と言われた章がある。
せっかく書いたものが使えないのは悲しいので、今日はこれを丸ごと掲載しようと思う。有り体に言うと手抜き更新である。
実は、今日までに別の文章を書き上げるつもりだったのだけれど、パフォーマンスが上がらなくて書ききれなかったので手抜き更新になった。やはり僕の仕事部屋にはオックスフォードのテーブルクロスが足りてないのかもしれない。近々買ってこようと思う。
ということで、ここから有料になる。ボツになった原稿そのものと、ボツ理由も合わせて掲載する。「書籍の原稿としてどんなものを書くとボツにされるのか」が気になる方はぜひ課金して読んでほしい。
単品購入(300円)も可能だが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても今月書かれた記事は全部読める。9月は4本更新なので、バラバラに買うよりも2.4倍オトク。
では早速見ていこう。ボツ原稿が、こちら。
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