友人が詐欺師になった日【後編】-3000万抱えて逃げた、弱き労働者
「こちら堀元さんのお電話ですか?」
「はい。そうですけど……」
「私、ちょっと不動産関係の者というか、今回の取引で決済に関わった者なんですが……」
極めてあいまいな名乗り方の人間から電話がかかってきた。経験上、こういうときはややこしい話になる。アドレナリンが一気に出て、昼食後の弛緩した頭が突然に冴える。手元のコーヒーを飲み干しながら、僕は電話口の声に集中した。
***
本日は、前回の続きである。「友人が詐欺師になった日【後編】」だ。
読んでいない方はまず前編をお読みいただきたい。ヤンキー的起業によって、彼が社長として特異な状況に置かれていたことを仔細に述べた。それから、僕がなぜ彼と友人になったのかということや、彼の人間的魅力についても。
今回は、この続きを書く。彼がいかにして詐欺師になったのか。何をやったのか。ぜひ、最後までお付き合いいただきたい。
それでは、始めよう。物語の続きは、僕のひとつの野望から始まる──。
ここから先は
13,195字
/
2画像
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?