結局、シェアハウスはイケてるのか?
シェアハウス、という言葉が大ブームになったのは2013年あたりだったと思う。『テラスハウス』というリアリティショーが未曾有のヒットを誇ったからだ。
シェアハウス文化は、それまではなんとなく怪しいイメージだったと思う。ちゃんとしていない若者が集まって、自堕落な生活を送っているような。学生寮の延長みたいな、金がない人間がボロ家で集まっているイメージだった。一部の変わり者を除いて、好んでシェアハウスに住みたがる人間はいなかった。
それが『テラスハウス』によって一気に変わった。イケてる男女がイケてる家で一緒に生活をし、リビングで「おはよう」と言い合っている。ひとつ屋根の下で親密な関係を築きながら、ある程度のプライバシーも保たれている。見るからに楽しそうな生活だ。
これを見たら「いいな~~!イケてるな~~!」と思わずにはいられない。リアリティショーがシェアハウス文化の爆発的な拡大を招いたと言っていいと思う。
当時大学生だった僕も「あっ、イケてる!僕もこんな暮らしがしたい!」と思った。しかも「単に住民になるのは嫌だ! どうせなら仕事にしたい!」と考えて、シェアハウスの管理人職にありつくことにした。
イケてて話が合いそうなシェアハウスの経営者をテキトウに狙い撃ちし、「慶應義塾大学4年の堀元と申します。私は◯◯で××で、貴社のビジョンに心から共感し、~~~。ぜひ一度お会いしてお話を~~~」みたいなメールを送った。で、なんやかんや会うことができ、彼に上手いこと気に入られて、僕は無事に管理人っぽい仕事を得た。
そんな経緯があり、僕は数年シェアハウスで暮らしていた。また職業柄、友人のシェアハウスに遊びに行くことも多かった。その経験から、今日はこの問題を論じたい。「シェアハウスはイケてるのか?」だ。
シェアハウスはイケてるのか?
『テラスハウス』が作ったイメージでは、シェアハウス暮らしは「イケてる生活」という感じだ。
しかし、この点についてシェアハウス経験者にヒアリングを行なうと、意見が大いに割れてしまう。「いや、まったくイケてなかったよ。金がないやつが鬱屈と暮らしてるだけ。交流なんてほとんどなかった」という声もあれば、「結構イケてたよ。住民みんな仲良くて、オレはそこで出会った女性と付き合って結婚したよ」という声もある。これは両方とも僕の友人の肉声である。
このことから、「シェアハウス」は非常に奇妙な概念だと分かる。人によってまったく違う印象や体験が付与され、その正体は掴みどころがない。
……いや、違う。「シェアハウス」と一口に同じ呼称をされているが、それが指す対象は大きく3つに分かれているのだ。そして、それがゴチャゴチャに論じられているから、掴みどころがないように思えるのだ。
この3つはまったく違うもので、それを一口に「シェアハウス」と呼んでしまうのが悪い。同じ哺乳類であっても、クジラとネズミではまったく違う。クジラとネズミは明確に分類して話さないといけない。それはシェアハウスにおいても同様だ。
だから、今日は僕の体験と主観に基づいて、シェアハウスを分類してみたい。世間にある分類はすべてモニョモニョした歯切れの悪いものになっているので、歯に衣着せぬ分類をやってみよう。
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